金・プラチナ投資における買い時について再度考える

1. 不透明な時代の「買い時」再考

 2017年を振り返ると、米国におけるトランプ政権の誕生、Brexitなどの政治的出来事によって地政学的な問題、リスクが認識されました。そのような中、株式市場は堅調に推移し、逆相関の関係にあるという金価格も、ともに値上がりするという状況がありました。

図 2017年から直近の金の値動き(ドル建て。1トロイオンス)
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出所:World Gold Councilホームページにおいて2017年1月1日~2018年5月24日でデータ取得
https://www.gold.org/data/gold-price

 SBIゴールドにおいても、金の買い時について論じてきましたが、それから1年ほど経ち、再度買い時について触れてみたいと思います。まず、地政学的な状況を見てみると、米国と北朝鮮の朝鮮半島非核化をめぐる首脳会談も、ここにきて事前の腹の探り合いになっているようです。南北会談で大きく緊張緩和に動いたかと思いきや、まだ予断を許さない状況にあります。一方で、イラン核合意からの米国の離脱、米国大使館のエルサレム移転など中東においても地政学的に影響を与えるイベントが発生してきています。

 刻々と変わる世界情勢の中で、金は改めて「有事の金」としての役割を果たすのでしょうか。今は、買い時なのか、改めて問われてきているように思われます。

2. ポートフォリオにおける買い方

 これまでに「金のポートフォリオをどう設定するか」、「プラチナ投資をポートフォリオにどう組み込むか」あるいは「プラチナの「買い時」という発想から「買い方」への発想転換」といったコラムで、ポートフォリオ、買い時について取り上げたことがあります。どの時点が買い時かという視点も大切ですが、不透明な時代の中で、買い方に着目し、自分のポートフォリオへの組み入れを調整することが大切になるということでした。以下は、そのポートフォリオを決定する一つのアプローチを示したものです。

ポートフォリオ形成のイメージ図【SBIゴールド作成】
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出所:SBIゴールド作成

 そこでは、個々の投資家がここで買いたいという時点として値下がり局面をひとつの目安として挙げながら、ポートフォリオの中で調整しながら割合を増減させる方法と表現しました。

 現在のような不透明な時代の中で、売り買いを頻繁に行うことは一つの方法であるとは思いますが、金やプラチナの希少性や有事に対する備え、インフレ・為替ヘッジ的な側面を考えると、安くなったときに買い戦略を立て、長期に積み増していくのも一つの手かと考えることもできると思います。

 森田隆大氏は、「2018年を考える〜金市場の構造変化に注目を」の中で金が堅調な理由を次のように指摘されています(注)。

1. ドル為替レートの下落

2. 地政学リスクに対する懸念

3. 高株価に対する警戒

4. 堅調な実需

5. ゼロ金利・低金利の影響

 この5点の指摘は、大変重要であり、逆にこの5項目の動向を常に注目し、そこに金、プラチナなどの工業技術における技術革新動向などに配慮するという戦略が浮かび上がってくるかと思います。

3. 終わりに

 個人投資家の中には、株式が好き、得意、あるいは債券や投資信託のほうを志向される方もいらっしゃるかと思います。そのあたりは、ご自分の得意な分野を活かしつつ、長期的に金、プラチナ投資を組み込み、超長期の視点で金の価値を考えて、積み立てなどを一つの手段として考えることも可能です。金そのものがリスク回避の資産となるというより、金、プラチナを取り込んだポートフォリオが資産を防衛する、と考えてよいかと思います。

 複数の要素を取り入れて考えることは大変難しいことのように思われますが、一度ポートフォリオを設定すると調整、見直しは、ある意味楽しくなってくるかもしれません。自分の組んだポートフォリオを育てていくことが大切であり、またそこに金やプラチナの貴金属投資を取り入れていくことは重要になってきていると思われます。

 本コラムでは、「金・プラチナ投資における買い時について再度考える」と題して買い時について触れました。

(注)弊社コラムの【森田隆大コラム】「2018年を考える〜金市場の構造変化に注目を」参照。
/column_news/morita/2018/01/180123-structural-change-2018.html