金は調整局面も押し目は買われやすい

【金は米中の通商協議継続でドル安が支援】

 2月18日の週のニューヨーク金市場は、ドル安を受けて一段高となり、期近4月限が昨年5月以来の高値1,349.8ドルを付けた。米中の通商協議で、米国が対中貿易交渉の一環として、人民元相場の安定を維持するよう求め、両国は元相場安定の保証を最終的な合意の枠組みに組み入れることで暫定合意した。人民元が対ドルで上昇し、ドル安要因となった。またスペインのボレル外相が、英国の欧州連合(EU)離脱交渉が近く修正合意に達する見込みだと述べたことを受けてポンドが急伸した。ただ米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、「フェデラル・ファンド(FF)金利の目標レンジを巡り、多くの参加者はどのような調整が年内に適切となり得るかまだ明確でないとの見方を示唆した」と指摘されると、ドル安が一服し、金は調整局面を迎えた。ただ世界的な景気減速懸念が残っており、金の押し目が買われやすいとみられる。米中の通商協議の期限が延長されるなか、今週はや米朝首脳会談や英国の欧州連合(EU)離脱の行方などを確認したい。

 米中の通商協議では、知的財産権保護や技術移転強要見直し、為替など中国の構造改革に関して6つの覚書を作成していると報じられた。また中国製品への関税引き上げを回避するための幅広い貿易合意を求めて、22日までの予定だった閣僚級協議は延長され、週末も交渉を続けた。為替条項での合意の履行という非常に重要な問題で意見がまとまっていない。また合意の履行で議論されている1つの選択肢は中国側が公約を破った場合に、米国が中国製品への関税を引き上げることだとされた。一方、トランプ米大統領とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との関係がぎくしゃくしている、と伝えられた。米大統領が「覚書は好きではない。何も意味しないからだ」と批判すると、ライトハイザー氏が覚書は法的拘束力があると反論し、米大統領の逆鱗に触れた。米大統領は24日、週末の米中通商協議で「大きな進展」があったとし、中国製品に対する関税の引き上げを延期すると表明した。また米中通商協議でさらなる進展があれば、最終合意に向けて米フロリダ州で中国の習近平国家主席との首脳会談を設定すると述べた。一方、米商務省が自動車関税に関する報告書を提出し、欧州連合(EU)の自動車への追加関税の行方も焦点である。欧州委員会は、米国との通商関係の改善を望むとしながらも、米大統領がEUの自動車への追加関税を決定すれば即座に対応する方針を示した。欧米の関税の行方も焦点である。

 2度目の米朝首脳会談が27~28日にベトナムのハノイで行われる。トランプ米大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談について、非核化に向けた動きが進展する可能性を強調し、「核兵器を放棄すれば、北朝鮮はすぐに世界の経済大国に加わることができると、恐らくほかの誰よりも金委員長がよく分かっているだろう」とツイートした。ただこれまでに3回目の会談の可能性を示唆し、長期戦の構えもみせており、北朝鮮の非核化に向けた動きを確認したい。

 米下院の民主党議員らは22日、トランプ大統領がメキシコ国境に壁を建設するために発令した非常事態宣言を無効にするための決議案を提出した。民主党のペロシ下院議長は、26日に下院で同決議に関する採決を行うとの見方を示した。シューマー上院院内総務も上院で同様の決議案を提案する考えを示している。ただ上下両院において同決議案が可決されるためには過半数の賛成票が必要。また両院で可決されたとしても、米大統領が拒否権を行使する可能性が高い。米大統領の国家非常事態宣言で複数の訴訟が予想されており、今後の行方を確認したい。

 2月22日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.53トン減の789.51トンとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録発表後に投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月5日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは10万9,095枚となり、前週の9万9,593枚とから拡大した。米政府機関の一部閉鎖の影響で発表が遅れたが、当面は金曜に加え、火曜も発表される。

【プラチナは米中の通商協議の合意期待が支援要因】

 ニューヨーク・プラチナ期近4月限は、ドル安や米中の通商協議に対する期待感を受けて堅調となり、昨年11月以来の高値847.5ドルを付けた。戻り高値を突破し、テクニカル面で改善しており、米中の通商協議で合意に達するようなら、リスク選好の動きを受けて上値を伸ばすとみられる。一方、南ア財務省は20日、今年から3年にわたり、経営悪化の国営電力会社エスコムに対して690億ランド(年230億ランド)にのぼる救済措置をとると発表した。また3分割されるエスコムの独立した理事会などは2019年中旬に発表し、電力市場の再構築については1カ月後に発表するとした。エスコムの発電能力は不足しており、電力供給の行方を確認したい。また南アの鉱山会社がストライキの通知を受けており、ストの行方も焦点である。南アでは鉱山労働者・建設組合連合(AMCU)が昨年11月からシバニェ・スティルウォーターでストを実施している。同社が金鉱山部門で約6,000人のリストラを発表すると、AMCUはプラチナ鉱山を含む鉱山会社15社でストを実施するとした。

 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は20日のロンドンで9.83トン(15日9.67トン)に増加、22日のニューヨークで21.35トン(同21.35トン)と変わらず、南アで24.22トン(同23.73トン)に増加した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月5日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは5,994枚となり、前週の4,617枚から拡大した。

【2月25日からの週の注目ポイント】

25日 景気動向指数(12月改定状況)
米小売売上高(1月) ☆☆☆
米卸売在庫(12月)
26日 米住宅着工・許可件数(12月) ☆☆
米ケース・シラー住宅価格指数(12月) ☆☆
米消費者信頼感指数(2月) ☆☆
27日 米製造業新規受注(12月) ☆☆
米中古住宅販売仮契約指数(1月) ☆☆
28日 鉱工業生産指数(1月速報) ☆☆
中国製造業購買担当者景況指数(2月) ☆☆
独消費者物価指数(2月速報) ☆☆
米国内総生産(10-12月期速報値) ☆☆☆
シカゴ購買部協会景気指数(2月) ☆☆
1日 労働力調査(失業率)(1月) ☆☆
中国財新製造業購買担当者景況指数(2月) ☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(2月確報) ☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(2月速報) ☆☆☆
米個人所得・支出(12月) ☆☆
米ISM製造業景況指数(2月) ☆☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数(2月確報値) ☆☆

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ニューヨーク金は高値更新後に利食い売りで調整局面
 ニューヨーク金4月限は、ドル安を受けて一段高となり、昨年5月以来の高値1,349.8ドルを付けた。米中の通商協議で、米国が人民元の安定を維持することを求めると、人民元主導でドル安に振れた。ただ米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で年内利上げの可能性が残っていることが示されると、ドル安が一服し、金は調整局面を迎えた。RSIが買われ過ぎの水準から低下しており、利食い売りが続くと、上値を抑える要因になる。ただ世界的な景気減速懸念は残っており、押し目は買われやすい。今回の戻り高値や1,350ドルの節目を突破すると、引き続き上値を試す可能性がある。

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2019年2月25日