金はドル安で押し目を買われる

【金は米FOMCで金融政策の見通しを確認】

1月21日の週のニューヨーク金市場は、ユーロ安が圧迫要因となったが、ドル安をきっかけに押し目を買われて戻り高値を更新した。中心限月の2月限は、昨年6月以来の高値1,303.4ドルを付けた。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が、ユーロ圏経済に対する向かい風は増大しているとの認識を示し、成長に対するリスク評価を下方修正し、ユーロ安となった。ただ国際通貨基金(IMF)が年の世界経済成長率見通しを下方修正し、景気減速懸念が強い。またトランプ米大統領が、政府機関一部閉鎖の解除に向けて議会と合意したが、2月15日まで3週間の解除となり、先行き不透明感が残っている。一方、英国の欧州連合(EU)離脱に関して、北アイルランドの民主統一党(DUP)が、メイ英首相のEU離脱協定案の支持を条件付きながらも非公式に決定したと伝えられ、ポンドが上昇した。英国のEU離脱の行方も焦点である。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)や米雇用統計の発表があり、金融政策の見通しを確認したい。

トランプ米大統領は25日、政府機関一部閉鎖の解除に向けて議会と合意した。ただ57億ドルのメキシコ国境の壁建設費用は含まれておらず、2月15日まで3週間の解除となる。米大統領は国境警備を巡る協議で満足いく結果を得られなければ、政府機関を再度閉鎖することも辞さないとしている。一方、米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は、1月30~31日に訪米する劉鶴・中国副首相との通商協議について、両国が合意を得られるかどうかの決め手となる極めて重要な協議になるとの見解を示した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が、トランプ米政権は知的財産権や中国の構造改革問題で前進がないため、中国の提案した通商予備協議の開催を拒否したと報じる場面も見られた。期限となる3月1日までまとまるかどうか、協議の行方を確認したい。

国際通貨基金(IMF)は、2019年と20年の世界経済成長率見通しを下方修正した。欧州や一部の新興国市場の低迷が要因。また貿易摩擦が解決されなければ鈍化しつつある世界経済を一段と揺るがしかねないとの見方を示した。世界経済成長率見通しは19年が3.5%、20年が3.6%と、それぞれ前回(10月)見通しから0.2%ポイント、0.1%ポイント引き下げた。また世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)がスイス東部のダボスで開幕し、会議に参加した金融業界の首脳らからは慎重な声が多く聞かれた。

欧州中央銀行(ECB)は、理事会で主要政策金利を据え置いた。ドラギECB総裁は、成長に対するリスク評価を下方修正した。ドラギ総裁は市場の金利予測について、「市場はECBのフォワードガイダンスの付帯条件を踏まえ、2020年に利上げが開始されるとの予想を織り込んでおり、市場がECBの政策反応機能を理解していることを示している」と述べた。ユーロ圏の景気減速懸念を受けてユーロが軟調となったが、同総裁の発言は織り込み済みとの見方もあり、ユーロは下げ一服となった。一方、CMEフェドウォッチによると、2019年12月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は現在の2.25~2.50%の確率が66.2%(前週66.0%)と金利据え置きが予想されている。ウォールストリートジャーナル(WSJ)が、米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)で、バランスシート縮小を予定よりも早期に終了し、大規模な国債保有の維持を検討している、と伝えており、29~30日の米FOMCで今後の金融政策の見通しを確認したい。

1月25日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比変わらずの809.76トンとなった。レンジ相場となるなか、模様眺めの動きとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は、米政府機関の一部閉鎖の影響で昨年12月24日以降、発表されていない。

【プラチナは800ドル割れで下げ一服】

ニューヨーク・プラチナ期近4月限は、景気減速懸念やユーロ安が圧迫要因となったが、800ドル割れで安値拾いの買いが入ると、ドル安をきっかけに急伸し、11日以来の高値822.5ドルを付けた。一方、パラジウム3月限は10日以来の安値1,269.10ドルを付けたのち、急反発し、1,300ドル台を回復した。米中の通商協議で先行きに対する期待感が出ると、リスク選好の動きがプラチナ・パラジウムの支援要因になるとみられる。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は22日のロンドンで8.84トン(前週末8.83トン)に増加、25日のニューヨークで19.74トン(前週末19.74トン)と変わらず、南アで22.83トン(同21.61トン)に増加した。南アで安値拾いの買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は、米政府機関の一部閉鎖の影響で昨年12月24日以降、発表されていない。

【1月28日からの週の注目ポイント】

28日 日銀金融政策決定会合議事要旨 ☆☆☆
29日 米ケース・シラー住宅価格指数(11月) ☆☆
米消費者信頼感指数(1月) ☆☆
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 ☆☆
30日 全米雇用報告(1月) ☆☆☆
米国内総生産(10-12月期速報値) ☆☆☆
米中古住宅販売仮契約指数(12月) ☆☆
米FOMC声明文公表(FRB) ☆☆☆
31日 鉱工業生産指数(12月速報) ☆☆
中国製造業購買担当者景況指数(1月) ☆☆
ユーロ圏国内総生産(10-12月期速報) ☆☆☆
米個人所得・支出(12月) ☆☆
シカゴ購買部協会景気指数(1月) ☆☆
1日 失業率(12月) ☆☆
中国財新製造業購買担当者景況指数(1月) ☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(1月確報) ☆☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(1月速報) ☆☆☆
米雇用統計(1月) ☆☆☆
米ISM製造業景況指数(1月) ☆☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数(1月確報) ☆☆

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ニューヨーク金はドル安で戻り高値を更新
ニューヨーク金2月限は、ユーロ安が圧迫要因になったが、ドル安をきっかけに急反発し、昨年6月19日以来の高値1,303.4ドルを付けた。トランプ米大統領が、政府機関一部閉鎖の解除に向けて議会と合意したが、2月15日まで3週間の解除となり、先行き不透明感が残っている。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)があり、利上げ休止観測が強まると、レンジを上放れる可能性も出てくる。

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2019年1月28日