金は米FRBの利上げ休止観測などが支援

【金は米株価の動向なども確認】

 年末年始のニューヨーク金市場は、ドル安や株安を受けて堅調となった。中心限月の2月限は、昨年6月19日以来の高値1,300.4ドルを付けた。米政府機関の一部閉鎖や、各国の経済指標が悪化したことに加え、アップル・ショックを受けて景気減速懸念が強まったことが支援要因になった。一方、昨年12月の米雇用統計が事前予想を上回ったが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)が迅速かつ柔軟に政策変更を行う用意があると発言したことを受けてドルの戻りは売られた。米FRBの利上げ休止観測が強まると、ドル安が進み、金の押し目は買われるとみられる。当面は米中の通商協議が本格化することや、米つなぎ予算案の協議の行方も焦点である。

 各国の経済指標の悪化で景気減速懸念が強まった。12月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.7と、1年7カ月ぶりに節目の50を下回った。また12月のユーロ圏製造業PMI改定値は速報値と変わらずの51.4で11月の51.8から低下し、2016年2月以来の低水準となった。さらに12月の米ISM製造業景気指数は54.1と前月の59.3から低下し、2016年11月以来の低水準となった。事前予想の57.9も下回った。一方、アップルが第1四半期の売上高見通しを下方修正したことを受けて株価が急落した。米2年国債利回りが実効フェデラルファンド(FF)金利の2.4%を2008年以降で初めて下回り、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測が強まった。12月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が31万2,000人増加し、2月以来の大幅増となった。事前予想の17万7,000人増も上回った。時間当たり賃金は前月比0.4%増と、前月の0.2%増から伸びが加速し、事前予想の0.3%増を上回った。労働市場の堅調が示されたが、パウエル米FRB議長は、FRBは忍耐強く臨むとともに、経済の勢いが堅調であっても市場が織り込む下振れリスクに対して敏感であるとの認識を示した。また将来の利上げやバランスシート縮小を巡って柔軟に対応すると明言した。CMEフェドウォッチによると、4日の米短期金利先物市場で、12月のFF金利の誘導目標水準は2.25~2.50%の確率が69.5%となり、金利据え置きが見込まれている。また2.00~2.25%の確率は22.7%であり、景気の行方次第では利下げの可能性もある。今年は欧州中央銀行(ECB)の利上げが見込まれており、ドル安に転じると、金の支援要因になるとみられる。

 米政府機関の一部閉鎖は年明けも続いている。米議会の新会期が3日開会し、民主党のナンシー・ペロシ氏が新下院議長に選出された。新議会は、民主党が中間選挙で下院の過半数議席を奪還したことで、「ねじれ議会」となる。米上院は引き続き共和党が多数派を占める。米下院は政府機関再開に向けて法案を可決したが、トランプ米大統領が要求するメキシコ国境の壁建設費用は盛り込まれなかった。米大統領と米民主党指導部は一部政府機関の再開を巡り協議したが、打開には至らなかった。米大統領は記者団に対し、メキシコ国境の壁建設に向けて非常権限を行使する可能性も示唆しており、今後の協議の行方を確認したい。一方、年明けで米中の通商協議が本格化する。米大統領は、足元の貿易交渉について順調に推移しているとの前向きな見解を繰り返した。7~8日に次官級協議を実施する見通しである。期限となる3月1日までに協議がまとまるかどうかが当面の焦点である。ハセット米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長は、中国経済の失速は米国企業の業績に打撃となる見通しだが、中国との通商交渉が成立すれば企業の売り上げは回復するとの考えを示している。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、昨年12月18日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは7万5,960枚(前週6万0,499枚)。米政府機関の一部閉鎖の影響で発表が遅れている。一方、1月4日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週比10.59トン増の798.25トンとなった。ドル安や株安を受けて投資資金が流入した。

【プラチナは米中の通商協議に対する期待感でレンジ上放れ】

 ニューヨーク・プラチナ期近4月限は、株安に対する懸念に上値を抑えられたが、ドル安や金堅調が下支えとなるなか、米中の通商協議に対する期待感が出たことを受けてレンジを上放れた。昨年11月29日以来の高値828.5ドルを付けた。アップル・ショックを受けて米株価の戻りが売られたが、好調な米雇用統計を受けて株価の押し目は買われており、リスク選好の動きが続くと、プラチナの支援要因になるとみられる。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、昨年12月18日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万1,387枚(前週1万0,991枚)。米政府機関の一部閉鎖の影響で発表が遅れている。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は昨年12月28日のロンドンで8.83トン、4日のニューヨークで19.44トン(前週末19.45トン)に減少、南アで21.87トン(同21.87トン)と変わらずとなった。

【1月7日からの週の注目ポイント】

7日 ユーロ圏小売売上高(11月) ☆☆
米製造業新規受注(11月) ☆☆
米ISM非製造業景況指数(12月) ☆☆☆
8日 ユーロ圏消費者信頼感(12月確報) ☆☆
米貿易収支(11月) ☆☆
9日 ユーロ圏雇用統計(11月) ☆☆
米FOMC議事録公表(12月18-19日) ☆☆☆
10日 中国消費者物価指数(12月) ☆☆
中国生産者物価指数(12月) ☆☆
11日 国際収支(経常収支)(11月)
米消費者物価指数(12月) ☆☆☆
米財政収支(12月) ☆☆

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ニューヨーク金は1,300ドルの節目を試す
 ニューヨーク金2月限は、昨年6月19日以来の高値1,300.4ドルを付けた。米政府機関の一部閉鎖や、各国の経済指標が悪化したことに加え、アップル・ショックを受けて景気減速懸念が強まり、株安・ドル安に振れたことが支援要因になった。テクニカル面では200日移動平均線(4日1,267.66ドル)を突破し、1,300ドルの節目を試し、強気であるが、RSIが買われ過ぎの水準に入り、調整局面を示唆している。

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2019年1月7日