金はドル安や株安が支援

【金は米政府機関の一部閉鎖などで逃避買い】

 12月17日の週のニューヨーク金市場は、ドル安や株安を受けて堅調となった。中心限月の2月限は、週明けに7月10日以来の高値1,273.9ドルを付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されたが、来年の利上げ回数の見通しが3回から2回に引き下げられた。市場予想の1回を上回り、ドル高となる場面も見られたが、米政府機関閉鎖に対する懸念から戻りは売られた。一方、週明けはトランプ米大統領が内部で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を議論しているとの報道や米政府機関の一部閉鎖を受けてドル安・株安に振れた。またムニューシン米財務長官が市場急落阻止チームを招集するなど政治動向に不安が広がっており、株安が止まるのかどうかを確認したい。米政府機関の一部閉鎖は、民主党が下院で過半数を占める新議会が招集される来年1月3日まで続く可能性があるとみられており、金に逃避買いが入ると、引き続き上値を試すことになりそうだ。

 ダウ平均株価は年初来安値を更新し、2017年9月以来の安値2万1,792.20ドルを付けた。中国や欧州の経済指標が事前予想を下回り、景気減速懸念が強まったことに加え、米政府機関の一部閉鎖などを受けて売り圧力が強まった。またムニューシン米財務長官の市場急落阻止チーム招集で、『市場が知らない、より大きな問題が存在するのか』という疑問が広がったと指摘された。株安・ドル安が続くと、金の支援要因になるとみられる。ただ株価が暴落すると、金の換金売りが出る可能性もあり、投資資金の動向を確認したい。

 トランプ米大統領は20日、議会共和党指導部に対し、メキシコの国境警備の財源が十分含まれていないとして、米上院が可決したつなぎ予算案に署名しない方針を伝えた。米下院は、壁建設費盛り込んだ暫定予算案を可決したが、米上院では民主党が反対し、まとまらなかった。トランプ米大統領と民主党は24日も政府機関が閉鎖される事態になったことについて相互に非難を続けた。米民主党のシューマー上院院内総務とペロシ下院院内総務は、米大統領が保守派の下院共和党議員に影響されている限り、政府機関の閉鎖を終わらせるのは難しいとする共同声明を発表した。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)ではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25~2.50%に引き上げることを決定した。2019年の利上げ回数の見通しは2回とし、前回の3回から減少した。またパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見で、バランスシートを「自動操縦」で縮小させる現在の方針の変更は想定していないと述べた。トランプ米大統領が内部で米FRB議長の解任を議論していると伝えられており、今後の行方を確認したい。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、関係筋の話として、米大統領のアドバイザーがここ数日間に大統領と米FRB議長の面会設定を協議したと報じている。また米大統領は、来年2月末を予定していたマティス国防長官の退任を2カ月前倒しし、1月1日付でシャナハン国防副長官を国防長官代行に充てる人事を発表した。米大統領がシリアからの米軍撤退を表明し、マティス氏と外交政策を巡って見解の相違があったとみられている。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月18日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは7万5,960枚となり、前週の6万0,499枚から拡大した。今回は新規買いが1万2,568枚、買い戻しが2,893枚入り、1万5,461枚買い越しを拡大した。一方、12月14日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は14日比10.59トン増の774.14トンとなった。ドル安や株安を受けて投資資金が流入した。

【プラチナは株安が圧迫要因に】

 ニューヨーク・プラチナ期近1月限は、ドル安や金堅調が下支えとなる場面も見られたが、株安に上値を抑えられた。来年の米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測が強まっているが、景気減速懸念や米政府機関の一部閉鎖などを受けて株安が進んだ。米中の貿易戦争休戦で、中国が米国車への追加関税の一時停止を発表したが、米政府機関閉鎖は年明けまで続く見通しであり、リスク回避の動きが続くと、プラチナの圧迫要因になるとみられる。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月18日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万1,387枚となり、前週の1万0,991枚から拡大した。買い戻しが手じまい売りを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は17日のロンドンで8.86トン(14日8.85トン)、24日のニューヨークで19.60トン(同18.72トン)に増加、南アで21.87トン(同21.87トン)と変わらずとなった。欧米で安値拾いの買いが入った。

【12月24日からの週の注目ポイント】

24日 日本、ドイツ休場
25日 景気動向指数(10月改定)
豪州、香港、欧州、英国、南ア、米国、カナダ休場
26日 金融政策決定会合議事要旨(10月30-31日分) ☆☆☆
米ケース・シラー住宅価格指数(10月) ☆☆
豪州、香港、欧州、英国、南ア、カナダ休場
27日 米住宅価格指数(10月)
米新築住宅販売(11月) ☆☆☆
米消費者信頼感指数(12月) ☆☆
28日 失業率(11月) ☆☆
鉱工業生産指数(11月) ☆☆
シカゴ購買部協会景気指数(12月) ☆☆
米中古住宅販売仮契約指数(11月) ☆☆

*重要度を3段階で表示

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ニューヨーク金は200日移動平均線を試す
 ニューヨーク金2月限は、7月10日以来の高値1,273.9ドルを付けた。トランプ米大統領が内部で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を議論しているとの報道や米政府機関の一部閉鎖を受けてドル安・株安に振れたことが支援要因になった。200日移動平均線(24日1,269.96ドル)を試しており、上放れるとテクニカル要因の買いが入って1,300ドルの節目を目指す可能性が出てくる。米政府機関の一部閉鎖は年明けまで続く可能性があるとみられており、株価と投資資金の動向を確認したい。

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2018年12月25日