金はドル高一服で堅調

【金は米中間選挙やFOMCを確認】

10月29日の週のニューヨーク金市場は、ドル高を受けて調整局面を迎えたが、ポンド主導でドル高が一服すると押し目を買われて堅調となった。期近12月限は10月11日以来の安値1,213.4ドルで押し目を買われた。ただ10月の米雇用統計が好調な内容となり、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しに変わりがない。7~8日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では12月の利上げ見通しが示されるとみられる。一方、6日の米中間選挙も当面の焦点である。民主党が下院を奪還するとみられており、ねじれ議会で先行き懸念が出て株安不安が高まると、金に逃避買いが入る可能性も出てくる。

10月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は25万人増となり、事前予想の19万人増を上回った。失業率は3.7%となり、49年ぶりの低水準を維持した。時間当たり平均賃金は前月比5セント(0.2%)増加した。前年比では3.1%増と、前月の2.8%増から加速し、2009年4月以来の高い伸びとなった。米短期金利先物市場では、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きが予想されているが、12月は73.6%の確率で0.25%利上げが見込まれている。一方、ダウ平均株価は7月以来の安値2万4,122.23ドルを付けたのち、一部企業の好決算や米中の貿易摩擦に対する懸念が後退したことを受けて急反発した。ただ企業業績の伸びがピークを迎えたとの見方が強く、株安懸念が残っている。米中間選挙では民主党が下院を奪還し、上院は共和党が維持するとの見方が強い。トランプ米大統領が中間所得層向けの「大規模減税」を発表する可能性があるが、ねじれ議会となれば民主党の反対で政策実行が難しくなるとみられる。ただ共和党の勢いが増しているとの指摘もあり、上下両院を維持する可能性が少なからず残っている。この場合は株高に振れ、金の圧迫要因となる可能性がある。

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席との会談で貿易面の対立を緩和できない場合、米国は中国からの輸入品でこれまでの関税の対象となっていなかった品目全てへの関税賦課を12月初旬までに発表する用意があると伝えられ、米中の貿易摩擦に対する懸念が高まった。ただ1日に米中首脳が電話会談したことを受けて懸念は後退した。両首脳は、今月末にアルゼンチンで行われる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて米中首脳会談を行うことに意欲を示した。米大統領は貿易について習国家主席と合意に達したい考えで、想定される条件の草稿の作成を開始するよう重要閣僚に求めた。ただカドロー米国家経済会議(NEC)委員長は、米政権が当局に対中貿易協定案の策定を指示した事実はないと明言し、当初の報道内容を否定した。米大統領は中国製品に追加関税をかける可能性がなくなったわけではないとも述べており、今後の行方を確認したい。一方、中国国有の半導体メーカー、福建省晋華集成電路(JHICC)は3日、米半導体大手マイクロン・テクノロジーの企業秘密窃盗に関与したとして米司法省に起訴されたことについて、いかなる技術も盗んでいないと否定した。中国が知的財産権侵害でどう対応するのかも焦点になりそうだ。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月30日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは1万3,194枚となり、前週の2万9,388枚から縮小した。今回は手じまい売りが2万3,824枚、買い戻しが7,630枚入り、1万6,194枚買い越しを縮小した。一方、11月2日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比9.41トン増の759.06トンとなった。株安懸念が残るなか、投資資金が流入した。

【プラチナは米中の貿易摩擦解消期待でレンジ上放れ】

ニューヨーク・プラチナ期近1月限は、米中の貿易摩擦解消に対する期待感を受けて9月下旬からのレンジを上放れ、6月26日以来の高値877.5ドルを付けた。20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて米中首脳会談を行う見通しであり、今後の協議の行方を確認したい。また今週は米中間選挙があり、株安懸念が後退するかどうかも焦点である。一方、パラジウムは史上最高値更新後に調整局面となったが、安値拾いの買いが入って下げ一服となっており、再び上値を試すかどうかを確認したい。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月30日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万4,723となり、前週の枚1万1,662枚から拡大した。新規買い・買い戻しが入った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は1日のロンドンで9.51トン(26日9.48トン)に増加、2日のニューヨークで18.73トン(同18.73トン)と変わらず、31日の南アで22.57トン(同23.15トン)に減少した。

【11月5日からの週の注目ポイント】

5日 日銀金融政策決定会合議事要旨公表 ☆☆☆
中国財新サービス業購買担当者景況指数(10月) ☆☆
米ISM非製造業景況指数(10月) ☆☆☆
6日 全世帯家計調査・消費支出(9月)
キャッシュレートターゲット公表(豪準備銀行) ☆☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(10月確報) ☆☆
ユーロ圏生産者物価指数(9月) ☆☆
7日 ユーロ圏小売売上高(9月) ☆☆
米消費者信用残高(9月)
米連邦公開市場委員会(FOMC1日目)
8日 政策金利公表(NZ準備銀行) ☆☆☆
機械受注(9月) ☆☆
国際収支・経常収支(9月)
中国貿易収支(10月) ☆☆
米連邦公開市場委員会(FOMC2日目) ☆☆☆
9日 中国消費者物価指数(10月) ☆☆
中国生産者物価指数(10月) ☆☆
英国内総生産速報値(7-9月期) ☆☆☆
英貿易収支(9月)
英鉱工業生産指数(9月) ☆☆
米生産者物価指数(10月) ☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数(11月速報) ☆☆

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ニューヨーク金はドル高一服で押し目買い
ニューヨーク金12月限は、ドル高を受けて上げ一服となったが、ポンド主導でドル高が一服したことをきっかけに押し目を買われた。10月11日以来の安値1,213.4ドルで押し目を買われており、10月高値1,246.0ドルを突破できるかどうかがテクニカル面の焦点である。今週は6日の米中間選挙や7~8日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を確認したい。10月の米雇用統計が好調な内容となり、12月の利上げ見通しが示されると、ドル高に振れ、金の上値を抑える要因になる。一方、米中間選挙では民主党が下院を奪還するとみられており、各市場の反応を確認したい。

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2018年11月5日