金は米国の利上げ見通しが圧迫も底堅い

【金は伊財政懸念や英EU離脱交渉の行方も焦点】

 9月24日の週のニューヨーク金市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ見通しが示されたことに加え、イタリアの財政懸念や英国の欧州連合(EU)離脱交渉に対する懸念によるドル高を受けて軟調となった。12月限は8月17日以来の安値1,184.3ドルを付けた。8月下旬からのレンジ下限を割り込んだが、米長期金利が低下したことからドル高が一服し、買い戻しなどが入って下げ一服となった。今週は米雇用統計などの発表があり、米経済の見通しを確認したい。一方、中国市場は国慶節で休場となる。米中の貿易戦争の行方も警戒されるが、中国が通商協議を取りやめており、トランプ米大統領の次の動きを確認したい。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)ではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げ、2.00~2.25%とすることが決定された。今後は年内12月にあと1回と来年3回の利上げが予想された。声明では「労働市場が引き締まり続け、経済活動が力強い速度で拡大していることを示している」と指摘された。今回の声明では金融政策の運営姿勢は引き続き「緩和的」との文言は削除された。経済見通しでは、国内総生産(GDP)の伸びが2018年は3.1%になると予想されたが、減税策と政府支出拡大策の影響が薄れるにつれ、2019年以降は減速するとの見通しが示された。ただパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がインフレに関しては驚くような上昇はないと述べたことを受けて米長期金利が低下した。米10年債利回りは9月25日の3.113%が目先のピークとなり、3.030%まで低下した。8月の米個人消費支出(PCE)価格指数はコア指数が前月から横ばいとなり、昨年3月以来の低水準となった。7月は0.2%上昇。また8月の前年同月比は4カ月連続で2.0%上昇した。今週は米雇用統計の発表があり、平均時給の動向なども確認したい。

 米国は9月24日、2,000億ドル相当の中国製品に対する新たな関税を発動し、中国も600億ドル相当の米国製品を対象に報復関税を発動した。トランプ米大統領は第4弾の制裁措置も警告しており、さらなる圧力をかけるのかどうかが当面の焦点である。ただ米製造業の雇用について、エコノミストの多くは、新たに関税を課せば最終的に雇用拡大を鈍化させるか、喪失を招くと予測している。一方、中国の王毅外相は28日、米中間の貿易摩擦を受けパニックに陥る理由はないとしつつも、中国は貿易を巡り脅しや圧力に屈することはないと言明した。中国は米国との通商協議を取りやめており、貿易戦争は長期化する見通しである。また米大統領が26日、11月の米中間選挙に介入しようと画策していると中国を非難したことは、中国に対する圧力戦術が新たな局面を迎えたことを示しているとの見方が出ている。

 イタリアは向こう3年間、財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を2.4%に安定させる目標を掲げた。欧州連合(EU)当局者がGDP比2.4%ではイタリアが義務に違反することになると述べ、同国政府が1.9%を目指す方針をこれまで示唆していた。しかし、2.4%となったことで債務圧縮が進まない可能性がある。一方、イングランド銀行のラムスデン副総裁は28日、英国のEU離脱を巡り、投資家が「否定的な」結末に備えた対応を強めている兆しがあると述べた。メイ英首相が、EU側が現在提示している離脱条件を受け入れるよりは、合意しないまま離脱する方が望ましいとし、先行き懸念が強まっていた。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月25日時点のニューヨーク金の大口投機家の売り越しは1万7,648枚となり、前週の1万0,844枚から拡大し、2001年5月以来の売り越し水準となった。今回は手じまい売りが4,857枚、新規売りが1,947枚出て、6,804枚売り越しを拡大した。一方、9月28日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比変わらずの742.23トンとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げは予想通りで模様眺めとなった。

【プラチナはドル高で戻りを売られる】

 ニューヨーク・プラチナ1月限は、ドル高などを受けて戻り売り圧力が強まった。9月21日に付けた8月9日以来の高値841.8ドルが当面の高値となった。米中の貿易戦争に対する懸念が後退したが、24日に追加関税が発動しており、買い戻し一巡後は高値を買い上げる動きは限られた。ただパラジウムが供給ひっ迫懸念を受けて堅調に推移しており、下支え要因である。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月25日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家は2,690枚の買い越しとなり、2,210枚の売り越しから買い方に転じた。買い戻しが手じまい売りを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は28日のロンドンで9.70トン(21日9.59トン)に増加、ニューヨークで18.89トン(同19.19トン)に減少、南アで23.86トン(同23.86トン)と変わらずとなった。

【10月1日からの週の注目ポイント】

1日 中国(国慶節、7日まで)、香港休場
日銀短観 概要及び要旨 9月調査 ☆☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(9月確報) ☆☆
米ISM製造業景況指数(9月) ☆☆☆
2日 キャッシュレートターゲット公表(豪準備銀行) ☆☆☆
ユーロ圏生産者物価指数(8月) ☆☆
3日 ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(9月確報) ☆☆
ADP全米雇用報告(9月) ☆☆☆
米ISM非製造業景況指数(9月) ☆☆☆
4日 米製造業新規受注(8月) ☆☆
5日 米貿易収支(8月) ☆☆
米雇用統計(9月) ☆☆☆

*重要度を3段階で表示

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ニューヨーク金はレンジ下限を割り込むも底堅い
ニューヨーク金12月限は、ドル高を受けて8月17日以来の安値1,184.3ドルを付けたが、買い戻しなどが入って下げ一服となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ見通しが示されたことなどを受けて8月下旬からのレンジ下限を割り込んだが、売られ過ぎに対する懸念もあり、下値で買い戻された。米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金の大口投機家は2001年5月以来の売り越し水準となった。
また次の支持線は8月16日に付けた2016年12月以来の安値1,167.1ドルとなっている。

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2018年10月1日