変化するイスラム金融と金について

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1. 変化するイスラム金融

 イスラム諸国のバザールなどを見ると、いろいろなものが売られています。スパイスや食料品、じゅうたんなどがまず思い浮かびますが、ジュエリーもそのひとつです。また、イスラム諸国のモスクなどを見ると金箔が貼られていたりして、金が文化の側面で重要な位置を占めていることが垣間見れると思います。

 イスラム教の中では、金は聖なる世界を感じ取る重要な役割を果たしていると思われます。宗教が非常に重要な地位を占める文化の中で、象徴的な存在として、長い歴史の中で金が愛されてきた。そういえるのではないかと思います。

 長い歴史をもったイスラムの金文化も、最近変化の波が訪れています。以前取り上げた金ETFが、イスラム金融の基準であるシャリーア基準の中で認められたことなどで変化がもたらされつつあります。

2. 新しい波 金ETF、仮想通貨

 2016年に金をめぐるシャリーア基準が策定されたことで、金ETF投資への道が開かれました。これは、とりもなおさず、装飾品の金から投資の金への移行ととらえることができるでしょう。このことは、イスラム諸国とその金融業界にとって大きな出来事と言えると考えます。

 最近は、「ワングラム」という金を裏付けにした仮想通貨のことが報道されています(注)。こちらは、まだ論争中のようですし、今後どうなっていくかはわかりません。ただ、金を中心に新しい投資手段が現れ始めていること、投資手段が多様化してきていることは、イスラム金融における重要な変化を読み取ることができるかと考えます。

 こう考えると、インドや中国と同様、「イスラムにおける金」とその動向からは目が離せないように思います。

3. 最後に

 これらのことから考えると、イスラムにおける金は、「装飾品、歴史的」から、「投資手段」とう側面を帯びてきているといってよいかと思います。イスラム商人は、隊商(キャラバン)を組んだり、海上の道を使って世界を渡り歩きました。そうした意味では、商業資本主義の重要な担い手でした。財務的に長けた能力を持っている文化と言い換えてもよいでしょう。

 イスラム金融と金は、こうした文化背景を持ちながら、一層変化してくることも予想されると思います。イスラム金融における変化はまだ始まったばかりです。

 今回は、変化するイスラム金融と金について、と題してお話ししました。

(注)ロイター2018年4月12日「焦点:仮想通貨は「イスラム教義の壁」超えるか、金の活用も」
https://jp.reuters.com/article/crypto-currencies-islamic-finance-idJPKBN1HI11N