金はドル高が圧迫要因

【金は米中の貿易戦争の行方を確認】

 7月30日の週のニューヨーク金市場は、ドル高を受けて軟調となり、12月限が2017年1月以来の安値1,212.5ドルを付けた。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しや米中の貿易戦争に対する懸念を受けてドル高に振れた。7月の米雇用統計が事前予想を下回ったが、米FRBの利上げ見通しに変わりはなく、ドル高が続くと、金は1,200ドルの節目を試すとみられる。中国が、米国製品に追加関税を課す報復措置を講じる方針を発表しており、貿易戦争の行方を確認したい。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.75~2.00%に据え置くことを決定した。声明では、経済成長は力強く上昇しており、雇用市場も引き続き力強さを増しているなか、インフレは前回6月の会合以降、米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%近辺で推移しているとの認識を表明した。市場では9月と12月の年内あと2回の利上げが見込まれている。7月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比15万7,000人増と、事前予想の19万人増を下回った。輸送や公益部門の雇用が減少した。5月と6月の雇用者数は合わせて5万9,000人分上方改定された。一方、失業率は4.0%から3.9%に低下し、労働市場の引き締まりを示唆した。また1時間当たり賃金は平均で前月比0.3%上昇。6月は0.1%上昇。前年同月比は2.7%上昇と、前月と同じだった。非農業部門雇用者数が事前予想を下回ったが、米FRBの利上げ見通しに変わりはない。

 トランプ米政権は1日、2,000億ドル相当の中国製品の輸入関税を当初発表の10%から25%に引き上げることを提案した。中国外務省の報道官が、米国が貿易を阻害する一段の措置を講じれば、中国は報復すると述べ、貿易戦争に対する懸念が再燃した。当面は米国が7月6日に発動した中国からの輸入品340億ドルに対する25%の関税に続く第2弾となる160億ドルに対する関税発動の発表を控えている。中国は3日、600億ドル相当の米国製品に追加関税を課す報復措置を講じる方針を発表した。液化天然ガス(LNG)や、小・中型の航空機など5,207品目に対し、5%から25%の税率をかける。追加関税措置の導入時期について、米国の出方次第としている。米政府は、米政府は中国と通商問題を巡り一段の協議を行っていくことにオープンだとの見解を示した。前週は、ムニューシン米財務長官と中国の劉鶴副首相の両者の代理が通商交渉再開を模索と伝えられる場面も見られ、交渉再開の動きが出るかどうかも焦点である。一方、メキシコのグアハルド経済相は3日、米国との北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉について、来週開く協議で主要な課題が解決に至る可能性が非常に高いと述べた。NAFTA再交渉の行方も確認したい。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月31日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは3万5,337枚となり、前週の4万8,597枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万1,365枚、新規売りが1,895枚出て、買い越しを1万3,260枚縮小した。一方、8月3日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比5.30トン減の794.90トンとなった。ドル高を受けて投資資金が流出した。

【プラチナはインプラッツ減産の見方が下支え】

 ニューヨーク・プラチナ10月限は、今月2日に7月20日以来の安値813.9ドルを付けたのち、下げ一服となった。ドル高が圧迫要因になったが、南アの鉱山会社インパラ・プラチナム(インプラッツ)の鉱区閉鎖・売却計画などが下支えとなった。インプラッツは今後2年間で1万3,000人の人員削減することを発表し、閉鎖が計画されている一部の鉱区を買い手があれば売却するとした。プラチナはこれまでの価格下落で南アの鉱山会社の生産コスト834ドルを割り込み、売られ過ぎとの見方が強い。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月31日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の売り越しは8,183枚となり、前週の8,116枚から拡大した。手じまい売りが買い戻しを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は2日のロンドンで10.96トン(27日10.98トン)、3日のニューヨークで17.87トン(同17.90トン)に減少、南アで22.87トン(同22.87トン)と変わらずとなった。

【原油は在庫増加などに上値を抑えられる】

 ニューヨーク原油は、米国の原油在庫増加やロシアの増産示唆に上値を抑えられた。米中の貿易戦争に対する懸念で需要が伸び悩むとの見方も上値を抑える要因である。70ドル付近でレンジ相場を形成しており、どちらに放れるかがテクニカル面での焦点である。米エネルギー情報局(EIA)が発表した7月27日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比380万3,000バレル増加した。事前予想は300万バレル減少。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された8月3日までの週の米石油リグ稼動数は前週比2基減の859基となった。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月31日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは61万3,400枚となり、前週の61万471枚から拡大した。新規買いが新規売りを上回った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は3日時点で1億2,480万株となり、前週末比320万株減少した。

【8月6日からの週の注目ポイント】

6日 独製造業受注(6月) ☆☆
7日 キャッシュレートターゲット公表(豪準備銀行) ☆☆☆
全世帯家計調査・消費支出(6月)
独貿易収支(6月)
独鉱工業生産指数(6月) ☆☆
米消費者信用残高(6月)
8日 国際収支(経常収支)(6月)
中国貿易収支(7月) ☆☆
9日 政策金利公表(NZ準備銀行) ☆☆☆
機械受注(6月) ☆☆
中国消費者物価指数(7月) ☆☆
中国生産者物価指数 (7月) ☆☆
米生産者物価指数(7月) ☆☆
米卸売在庫(6月)
10日 企業物価指数(7月)
国内総生産1次速報(4-6月期) ☆☆☆
英国内総生産速報値(4-6月期) ☆☆☆
英貿易収支(6月)
英鉱工業生産指数(6月) ☆☆
米消費者物価指数(7月) ☆☆☆
米財政収支(7月) ☆☆

*重要度を3段階で表示

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ニューヨーク金は1,200ドルを目指す動き
ニューヨーク金12月限は、ドル高を受けて軟調となり、2017年1月以来の安値1,212.5ドルを付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ見通しが示されたことや、米中の貿易戦争に対する懸念を受けてドル高に振れた。7月の米雇用統計が事前予想を下回ったが、米連邦準備理事会(FRB)が年内あと2回の利上げをするとの見通しに変わりはなく、ドル高が続くと、1,200ドルの節目を試すことになりそうだ。ただRSIが売られ過ぎの水準に入っており、実需筋の買い意欲が強まると、買い戻し主導で上昇する可能性も出てくる。

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2018年8月6日