プラチナのリサイクルについての問題

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1. 都市鉱山、プラチナのリサイクル

 昨年、ゴールドフェスティバル2017に参加し、「都市鉱山」からリサイクルで取り出される金で東京オリンピックの金メダルを作るというプロジェクトを知り、その際「都市鉱山」という言葉が印象に残りました。PCやスマートフォン、携帯電話の基盤などには金が使われています。こうした再利用可能な資源を「都市鉱山」と呼びますが、日本は大変量が多いようです。意識はしていないのですが、まさにちりも積もれば山となるで、日本は世界で有数の「都市鉱山」保有国なのです。

 これらリサイクルによる資源再取得が多くなればなるほど、市場に与える影響も大きくなってくることが予測されます。プラチナも同様のことが考えられます。そのボリュームの変動はプラチナ価格に影響を与える諸要素の一つといえます。

 以前触れたように、自動車の排ガス浄化のためにプラチナが使われていることに触れました。また、水素自動車にはガソリン車以上のプラチナが使わることも触れました。ガソリン車が廃車になった場合、プラチナの再生利用によってプラチナの供給と需要に影響を与えることになります。

2. 自動車触媒に使われるプラチナと「自動車鉱山」

 最近、「自動車鉱山」という言葉を提起されている方がいらっしゃることを知りました。この言葉は大変よい使い方ではないかと考えます(注1)。プラチナを使用したガソリン車が廃車になる過程でリサイクルされるプラチナは、世界各国が取り組む将来の自動車に対する政策の影響を受ける可能性があります。たとえば、欧州の中のいくつかの国が打ち出しているように電気自動車などの普及推進です。そこから起こるガソリン自動車の廃車とプラチナのリサイクルがなされることになります。

 ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(World Platinum Investment Council : WPIC)のPlatinum Quarterly Q4 2017(2017年第4四半期レポート)の中でも、世界全体のプラチナ供給量は2017年から2%減少し7,815キロオンスになることを予想していますが、自動車触媒のリサイクルの増加を予想しています(注2)。

 プラチナの供給に関しては、南アフリカのプラチナ鉱山の閉鎖などによって若干縮小することが予測されています。また、現在南アフリカにおいて業界再編も行われています。そのような供給の縮小の中、現時点では大きな数値ではないにしても廃車からのリサイクルは次第に大きくなっていくと推測されます。その点では、「自動車鉱山」とは非常に的を射た用語だといえるでしょう。

3. 最後に

 30年くらいのスパンで振り返ってみると、そのころよほど先見性のある人でないと、ここまでスマホやPC、タブレットが発展する予想できなかったのではないでしょうか。また、プラチナと関連する水素自動車技術などもそうです。今後の技術革新では、どのような技術が現れてくるか興味深いところです。

 現在は、自動車の排ガス浄化においてはパラジウムが使われることが増えており、それプラチナ価格下落の一因とも見られているようです。しかし、今後は、プラチナへの再シフトも考えられないこともありません。近い将来における技術動向と、プラチナ供給、需要のバランスはプラチナ市場を占う重要な要素と思われます。プラチナ価格の動きには十分配慮をしておく必要があると思われます。

 今回は、プラチナのリサイクルについての問題と題してプラチナのリサイクルに触れました。

(注1)吉田哲「EV化で気になる、プラチナ・パラジウムの"自動車鉱山"からの供給圧力」2017年12月17日。楽天証券のトウシルに掲載の記事の中で、吉田氏は今後の動向を予測する上で大変重要なことを指摘されています。
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/11027

(注2)World Platinum Investment Council, Platinum Quarterly Q4 2017 March 8,Forewordより