金地金の「買い時」について考える<その1>

金やプラチナといった貴金属地金は、株式相場と逆の動きをする「逆相関」と言われています。では、貴金属地金の「買い時」をどのように考えればよいのでしょうか。簡単に考えてみれば、今買っておくと将来の値上がりが期待できる時です。将来の値上がりといえばすぐにイメージできるのは目先の価格上昇ですよね。しかし、それだけで投資家が資金投下(買付)できるのかといわれると、とても難しいと思います。長期にわたる資産価値向上が見込めるのか?も「買い時」か「否か」の判断材料となります。

最近では地政学的リスクやドルの減価に備えたい、また単純に分散投資・長期投資商品として金やプラチナといった貴金属地金に投資したいなど、金地金を買う目的は多様化が進んでいます。主な目的は以下と言われております。

【金地金投資の主な目的】
①分散投資
②有事の金
③長期的投資(積立)

①の分散投資では、世間一般ではリスクヘッジのために自身のポートフォリオに5%~10%ほど金地金を組み入れておくと良いといわれております。お持ちの保有証券等の資産価値が減少しても、逆相関の金地金でリスクヘッジできる可能性が高いからです。

②の有事の金とは、まさに有事(戦争や政変等の地政学リスクを含む)の際に、希少価値の高い実物資産である金地金の価値が上がることを指しております。

③長期的投資(積立)に関しては、これもよく耳にすると思いますが、純金積立等を少額ずつ積立し、将来の資産形成につなげるということを指しております。

次に、実際の金地金の価格変遷を見ながら考えて見ましょう。

1.短期的投資の売買差益

それでは金の買い時はいつでしょうか。まず短期的投資ですが、下記チャートで過去一年間の1㎏の金価格変化をみると2016年10月初旬の金価格が一番低かったことが分かります(2016年10月6日に約416万円)。もしこの時に1㎏の金を買ったとすると、2017年7月調査時点では約34万円価格が上昇したことになります。

過去1年間の金価格変化(1kg/円)

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このように、目先の金価格上昇が見込めるのであれば、単純に下落傾向に買っておけばよい訳で、そういう意味では目下も買い時に当たる時期かも知れません。また地政学的リスクが強く想定される可能性がある場合は、その直前に買っておくのも短期的な利益を狙えるタイミングかも知れません。しかしながらこれらは、ギャンブル的要素が余りにも強く一般的ではありません。

実際に昨年ドナルド・トランプ大統領候補が大統領選当選した直後の金価格は約4.1%上昇【40.93ドル→42.61ドル(データ出典:WGC)】し、また英国が国民投票の結果、EUからの離脱(Brexit)が決まった直後には4.2%ほど上昇をみせました。【40.58ドル→42.29ドル(データ出典:WGC)】

下図2つは、トランプ大統領当選、英国のEU離脱結果が判明した1週間の価格変化をそれぞれ表しています。
Brexitが明らかになった後も英国経済や通貨ポンドへの不安要素が消えず金価格はその後も上昇傾向が続いたのですが、トランプ大統領当選に関していうと、当選直後には上昇したもののその後の当選会見内容(統合・包容を強調)、金融規制緩和の展望によって米国経済懸念に対する不安が緩和され、わずか数日で下落傾向に入っていることが分かります。

英国のEU離脱是非を問う国民投票の投票結果が確定した週の金価格(2016年6月23日)

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トランプ米大統領が当選した週の金価格(2016年11月9日)

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このように上昇をみせた直後でも新しい局面を迎えたり、別の地政学的要因が登場したりして不安が緩和されるなど短期的な値動きには注意が必要です。2017年以降も地政学的不安が続くと考えられます。このように金地金の動きを単純に予測することは困難ですが、今年は着目してもいいかもしれません。