東南アジアの文化における金をめぐって

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1. 小乗仏教地域における豊かさ

皆さんのなかには金で装飾されたタイの寺院や仏像などをご覧になった方もいらっしゃるかと思います。写真で見ても、そのきらびやかさは素晴らしいものであり、文化の高さを物語っています。

さて、東南アジアといえば、タイを筆頭に経済発展を続けていますが、位置づけとしては新興国とされているかと思います。そして東南アジアの中でも、タイなどは小乗仏教を宗教的な背景とする国で、スリランカなどもそうです。

なぜ、このような水田が広がる国々できらびやかな金を施した豊かな文化を確立することができたのでしょうか?よくよく考えると不思議に思えます。ここでは、東南アジアの歴史における金文化の背景を少し考えてみたいと思います。

2. 金、僧侶、米

タイや小乗仏教が広がっている国においては、概ね米作が中心になっています。タイは米を輸出できるほどの国です。東南アジアの米作を中心とする社会は、その豊かな米作の余剰をうまく配分する循環構造を作っていると仮定されます。

小乗仏教は基本的に出家主義ですので、仏教に帰依する出家した僧侶が多数存在します。そしてこの僧侶の集団は、社会の価値を裏付ける宗教とその維持のために宗教活動に専念します。こうした宗教組織を養うことができるのが、豊かな米作という生産様式における余剰であったと思われます。そして、その豊かな社会、文化を背景に黄金に輝く仏教文化を創り出すことができてきたのではないでしょうか。

米作と僧侶と金。これらは、タイなどの東南アジアの豊かな文化と富の再配分構造の中で絶妙に連関しているのではと考えられると思うのです。

3. 文化と生態系の違いからくる金文化の異なり

エジプトやペルーのインカ帝国など、強力な権力と金の結びつきは、比較的容易に想像できます。それとは異なった文化の形を持った地域でも独自の方法で豊かな文化力を誇っていたところがあっといえるでしょう。その一つがタイなどの東南アジア諸国です。

金は、このように世界の生態や文化を背景に蓄積されてきたという側面もあると感じます。

今回は、東南アジアの文化における金をめぐる雑感でした。