金はドル相場の見通しを確認

【金は米貿易摩擦に対する懸念が強まると支援要因】

3月5日週のニューヨーク金市場は、4月限がドル安を受けて1,342.0ドルまで戻したが、米国の鉄鋼・アルミニウムの輸入関税に対する警戒感が後退したことなどを受けて上げ一服となった。ただ米雇用統計後のドル高が一服し、下支えとなった。トランプ米大統領は鉄鋼・アルミニウムの輸入関税に署名したが、国別の対応とされ、過度の警戒感が後退した。ただ今後の各国との協議で報復関税の話などが出ると、先行き懸念からドル安に振れる可能性が出てくる。ドイツの業界団体は、「保護貿易主義のスパイラル」に陥らないよう、独政府および欧州連合(EU)に対し自由貿易を確保し続けるよう求めた。また中国の鍾山商務相は、トランプ米大統領が通商面で対中強硬姿勢を強めていることに関して「中国は貿易戦争を望まない」と述べた上で「あらゆる挑戦に対応する能力がある。断固として国家と人民の利益を守る」と米国を強くけん制した。一方、2月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は31万3,000人増加し、2016年7月以来の大幅な伸びとなった。事前予想は20万人増だった。1時間当たりの平均賃金は前月比4セント(0.1%)増の26.75ドルとなり、1月の0.3%増から減速した。事前予想は0.2%増。発表直後は予想以上の非農業部門雇用者数を受けてドル高に振れたが、平均時給が鈍化したことからドル買い一巡後はドル安に転じた。今週は2月の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高、米鉱工業生産などの発表があり、ドル相場の見通しを確認したい。

トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩委員長と5月までに会談する意向を示したことが明らかになった。平昌冬季五輪をきっかけに北朝鮮との対話が進むなか、韓国は6日、北朝鮮が非核化に向け米国と対話する意向を表明したと発表した。北朝鮮が協議中は核開発計画を停止すると述べたという。また文大統領と北朝鮮の金正恩委員長が4月末に板門店で会談することで南北が合意したと発表した。ただ米ホワイトハウスのサンダース報道官は9日、北朝鮮が「具体的な」行動を示さなければ米大統領は金正恩委員長との会談は行わないと述べた。北朝鮮が対話の意向を示していることは核開発の時間稼ぎとの見方も強い。4月には米韓合同軍事演習が予定されており、朝鮮半島の非核化が本当に実現するかどうかを確認したい。

インドの金プレミアムは前週、3ドルのディスカウントとなり、前々週の2ドルのプレミアムから低下した。小売需要が非常に弱いことが指摘された。ただ4月にはアクシャヤ・トリティヤの祭りがあり、需要が増加するとみられている。一方、中国では6~8ドルのプレミアムとなった。前々週の8~10ドルのプレミアムから小幅に低下した。実需筋の買い意欲が強まらなければ上値は限られそうだ。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月6日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは18万3,823枚となり、前週の17万8,718枚から拡大した。今回は手じまい売りが6,394枚、買い戻しが1万1,499枚入り、買い越しを5,105枚拡大した。一方、3月9日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.25トン減の833.73トンとなった。米国の鉄鋼・アルミニウムの輸入関税に対する懸念などを受けてドル安に振れたが、戻り場面で投資資金が流出した。

【プラチナは950ドル割れで下げ一服】

ニューヨーク・プラチナ4月限は、1月3日以来の安値946.8ドルを付けた。ただ米大統領が鉄鋼・アルミニウムの輸入関税に署名するなか、過度の警戒感が後退した。また米雇用統計で平均時給の伸びが減速し、急激な利上げに対する懸念も一服した。リスク選好の動きが広がるようなら、実需筋の買い意欲が強まり、目先の安値を付けることになりそうだ。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月6日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは3万5,641枚となり、前週の4万1,751枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、9日のロンドンで11.24トン(2日11.24トン)と横ばい、ニューヨークで17.61トン(同17.92トン)に減少、8日の南アで25.10トン(同25.10トン)と横ばいとなった。

【NY原油は60ドル台を維持】

ニューヨーク原油は、ドル高や米国の増産などを受けて軟調となったが、米株価の急伸をきっかけに下げ一服となった。米エネルギー情報局(EIA)が発表した3月2日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比240万8,000バレル増加した。事前予想は280万バレル増。また米原油生産量が日量1,036万9,000バレルと過去最高を更新したことも圧迫要因となった。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された3月9日までの週の米石油リグ稼動数は前週比4基増の796基となった。1月19日以来の減少となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月6日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは68万5,607枚となり、前週の70万4,104枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は9日時点で1億4,790万株となり、前週末比580万株減少した。

【3月12日からの週の注目ポイント】

12日 米財政収支(2月)
ユーロ圏財務相会合
13日 米消費者物価指数(2月) ☆☆☆
EU財務相理事会
14日 日銀議事録(1月22日、23日開催分) ☆☆
中国小売売上高、鉱工業生産(2月) ☆☆
米小売売上高(2月) ☆☆☆
米生産者物価指数(2月) ☆☆☆
ドラギECB総裁、講演 ☆☆
メルケル独首相、4期目の就任宣誓 ☆☆
15日 米輸入物価指数(2月)
米NY連銀製造業景況指数(3月)
米新規失業保険申請件数(10日までの週)
16日 米住宅着工件数(2月)見
18日 ロシア大統領選(第1回投票)

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ニューヨーク金は1,300ドル台維持で底堅い
ニューヨーク金4月限はダブルトップを形成したのち、ネックラインとなる2月8日の安値1,309.0ドルを割り込んだが、下放れに失敗し、もみ合いとなった。米国の鉄鋼・アルミニウムの輸入関税に対する警戒感が後退したが、今後、各国との協議で報復関税などが出ると、ドル安に振れるとみられる。一方、米雇用統計で平均時給が鈍化し、ドル高が一服した。金は1,300ドル台を維持しており、ドル相場の行方を確認したい。

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2018年3月12日

提供:ALL先物比較