金・仮想通貨への投資比較

investment_comparison_01.jpg

1.仮想通貨をめぐる動き

仮想通貨。最近、この言葉を聞かない日はないといっていいくらいです。特に、いま社会を騒がせているのは、業界大手のコインチェック株式会社が不正アクセスを受け580億円相当の仮想通貨を流出させてしまったことです。皆さんもニュースなどでご存知かと思います。昨年来、仮想通貨は高騰を続けてきました。ここへきて、コインチェックの事件、各国政府の仮想通貨への意識が向いてきたことなど、はじめは先端の投資手法としてマニアの間で取引されていたものが、そのステージを大きく変えてきたことは事実かと思います。

すでに、大手金融機関が参入したり、給与の一部をビットコインで支給するなどの動きが出てきています。今まで何度か触れていますが、ブロックチェーン技術を使った金取引などの動きもあります。仮想通貨が抱える問題の大きなものとしては、①国家が保証している貨幣とは異なる、②業界自体の一層の成熟に向かっているときで、取引所などのありようにばらつきがある、などかと考えられます。現在、調整局面的なところに差し掛かっているともいえると思います。

このことから考えると、仮想通貨に投資することはどれほどリスクをとれるかということになり、リスクをとれない場合は、安全資産の金に流れる(注)、という図式も成り立ち、意外なことに双方が補いながら投資資産としての役割を果たす可能性もあるといえる部分があります。

2.金・仮想通貨への投資の比較

以下は、金と仮想通貨の特色を簡単に表にまとめてみました。

【表 仮想通貨と金の比較】
仮想通貨
形態 データとして存在。通貨によって有限無限様々。 現物所有、または現物を所有する方法がいくつか存在。金の資源自体は有限。
価格など 変動。昨年来高騰。現時点では変動幅は大きい。 変動
保証・裏付け 通貨であるが国家的な裏付けはない。 国際的な品質保証の仕組みがある。換金システムが確立されている。
人類史におけるかかわりの歴史 浅い。ネット社会を背景 長い。人類古代からの資産としての歴史
リスク 比較的高い。マネーロンダリングなどに使われる恐れ。ハッキング。パスワード忘れなどによる紛失など 比較的低い。ただし、現物を身近に保有する場合は盗難の恐れ。
地政学的リスクとの関係 即つながってはいない。今後の展開を見る必要がある。 有事の金といわれる
投資する主体 個人が多いが、今後はプロが参入する可能性 中央銀行、機関投資家、個人
使われ方 投資。銀行を通じない決済システム 資産。わずかではあるが、決済手段の動きも

出所:SBIゴールドが作成

上記の表から言えることは、いくつかあると思います。
一つには、仮想通貨が高度に成熟したネット社会を背景としていることが挙げられるかと思います。ネット社会がこれほどまで発展しなければ仮想通貨は現れなかったのではないかといえるでしょう。一方、金は古代文明から人々に畏敬の念を持たれる金は、何千年単位として形と意味を変えて人類の資産として存在してきました。まさに、アナログ的で地に足がついた資産といえるでしょう。株式好調の影で、この二つが、最近よく取り上げられているのは、ネット社会の成熟とポートフォリオの多様化を背景としていると思われます。

金が地政学的リスクや他のポートフォリオとの関係の中で変動するならば、仮想通貨はセキュリティと規制を変動要因としているという一面があります。

本コラムでは、技術的なことについて掘り下げては言及せず、大まかな比較にとどめました。ただ、金の売買へ携わる人たちの間でも、仮想通貨のことは無視できない存在となっていることは事実です。一つ言えることは、今後も金と仮想通貨は引き合いに出され続けると思われます。金投資を考えるためにも、仮想通貨の動向には注目しておく必要があるように思われます。

今後の注目点としては、各国政府の仮想通貨への態度、対応があげられるかと思います。仮想通貨と金は、株式好調の影で投資ポートフォリオとしてどのようにそのポジションを変化させていくか引き続き注目されます。

今回は、仮想通貨と金の投資の比較について考えてみました。

(注)仮想通貨と金の最近の動向については、以下のような記事があります。

〇Yahoo! ニュース 2018年1月28日「トランプ米大統領1年目の金価格は10%上昇」
https://news.yahoo.co.jp/byline/kosugetsutomu/20180128-00080957/

〇日本経済新聞電子版 2018年1月24日「ビットコイン、乱高下で増す取引難易度 個人の金回帰強まる」