金:究極の保険-アラン・グリーンスパン氏インタビュー<その3>

5.あなたは通貨政策の意思決定を支援するために財政政策は調整されるべきとお考えですか?

逆もまたしかりと考えます。財政政策は、もっとファンダメンタルな政策です。通貨政策は同じ有効性を持ち合わせていません。財政政策が健全ならば、通貨政策はほどよく実行しやすくなります。中央銀行にとって最悪な状況は、今日経験しているような不安定な財政政策なのです。

中心課題は、政府支出の伸びの程度が主としてもたらすものは財政システムを不安定化させるということです。寿命が実質的に伸びているにも関わらず、65歳定年制は、ルーズベルト大統領が1935年に導入して以来、ほんのわずか変更されただけです。したがって、私たちに最初にできることは、退職年齢を引き上げることです。これは明らかに支出を削減します。

私はまた、銀行や金融仲介機関への自己資本比率の要請は、現行より高くあるべきであると信じています。振り返れば、ここ数十年の危機は、通貨危機でした。たとえば、米国経済の非金融部門は、2008年以前は好調でした。経済の非金融部門を悪化させるのは、金融システムの崩壊なのです。もし、金融システムにおいて十分な資金化がなされているなら、悪化の連鎖、伝染性のあるデフォルトは大きく減少します。

例えば、もし、商業銀行への自己資本比率要請が、資産に対して現在の11%の平均比率周辺から20%、あるいは30%になった場合は、銀行は、そのような環境下では、利益の出るローンが組めなくなると主張するでしょう。1869年にさかのぼった米国通貨監督庁(OCC)のデータは、その主張とは異なったことを示唆しています。

これらのデータは、自己資本に対する銀行の純収益率が、資産に対する自己資本のレベルに関係なく、全データ期間を通じて5%から10%に分布していることを裏付けています。このことは、財政システムの有効性を損ねることなく、高い自己資本比率に段階的に引き上げていくことができる、ということを示唆しています。確かに、貸し付けにおけるいくらかの縮小はあり得るでしょうが、ローンは十中八九(縮小の)筆頭にはなってはこなかったのです。

6.超低金利あるいはマイナス金利に対して、リザーブマネージャー(中央銀行で外貨準備を担当するマネージャーのこと)は、金の大口の買い手でした。あなたの見方では、金は準備資産としてどのような役割を果たすと思いますか?

私が、連邦準備制度理事会の議長であったとき、連邦議員のロン・ポール氏を前に証言したことがありますが、同氏は強力な金唱道者でした。我々は、いくつかの興味深い議論を交わしました。私は同氏に対し、米国の通貨政策は、金本位制が創設されたときの合図に従うようにしてきたと述べたのです。それは、不換通貨ですら健全な通貨政策になります。

その点については、私は同氏に対し、私たちが金本位制に戻ったとして、政策はそれほどまでに多くを変えることはない、と述べました。

出所:Gold Investor, World Gold Council , 2017 February

http://www.gold.org/research/gold-investor/gold-investor-february-2017