金:究極の保険-アラン・グリーンスパン氏インタビュー<その1>

1.ここ数カ月、スタグフレーションについての懸念が強くなってきています。あなたは、これらの懸念に妥当性があると思いますか?

我々は、特に先進国において、ベビーブーム世代の高齢化を主な原因とした、長期にわたる生産性向上の停滞を経験してきました。社会福祉(米国で与えられる)は、それに等しいだけ国内総貯蓄、投資資金の一次的資金を追いやっています。GDP(国内総生産)に対する国民総貯蓄の減少は、総設備投資をおさえています。

世界的に時間単位当たりの生産性の成長を抑制しているのは、この減少した投資にほかなりません。時間単位の生産性は、5年以上前には2%に近い成長率であったのに比べ、米国および他の先進国においてこの5年で最大0.5%でした。この大きなへだたりは、GDPと人々の生活水準を比例的に反映したものです。

生産性が鈍化するにつれ、経済システム全体が鈍化します。それは、ブレグジット(Brexit)からトランプに至る絶望と経済的なポピュリズムの勃興を引き起こしました。たとえば、このポピュリズムは、社会主義や資本主義といった哲学あるいは概念ではありません。それはむしろ、「なんとかしてくれ!助けてくれ」と叫ぶ人々の「痛みの声」です。

同時に、インフレリスクも発生しつつあります。米国では、失業率は、5%以下になっていますが、概して、賃金と単位(労働)コストの上昇圧力を与えています。最近示されたマネーサプライにおける大幅な増加によって需要は上昇し、それがインフレ圧力を引き起こしています。今日まで、賃金の上昇の大部分は、雇用主によって吸収されていましたが、しかし、コストが上昇すれば、価格は最終的にそれに従います。もし、停滞期にインフレを強いるならば、スタグフレーションに至ります。

(注) スタグフレーションとは、景気が後退している中で、物価が高騰しインフレが発生する状態で、言い換えますと、不況とインフレが併存する経済状態を指します。

2.インフレ圧力が強まれば、金に対する関心が回復すると予想しますか?

明らかなインフレ率上昇は、最終的には、金の価格を上昇させるでしょう。金に対する投資は今や、「保険」です。短期の利益ではなく、長期の保護なのです。

私は、金を根本的な世界通貨としてみなしています。銀とともに、相手方の署名を求めない通貨なのです。しかし、金は、銀よりもオンスあたりの価値は高いです。債務支払の際、金の受け取りを拒否するひとはだれもいないでしょう。信用の手段及び不換通貨は、相手方の信用力に基づきます。

金は、銀とともに、本来価値を持った通貨のうちの一つなのです。それは以前から変わりません。だれもそれに異を唱えませんし、価値あるコモディティであり続けてきました。小アジアで通貨として使われたのは紀元前600年にさかのぼります。

出所:Gold Investor, World Gold Council , 2017 February

http://www.gold.org/research/gold-investor/gold-investor-february-2017