フィンテック時代における金

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以下は、WGC所属のディレクター ロビン・マーティン)のインタビュー記事です。

急速なペースの技術革新は、多くの産業を崩壊の危機においやっています。特定のタイプの仲介金融機関の排除(いわゆる中抜き)、サービスの簡素化、低コスト化の可能性をはらみながら、フィンテックは注目を集めています。事実、スマートフォンという武器を手に入れた消費者たちは、革新的で、快適な操作を持ち、透明な価格設定となっている金融サービスをますます求めるようになってきています。

急速に変化していく環境のなかで、こうしたトレンドが、金需要、投資家が金を入手・取引する方法に影響を及ぼすかどうかついて考えてみる価値はあると思います。

ワールドゴールドカウンシル(World Gold Council:WGC。以下WGC)は、テクノロジーが金保有の民主化における重要な推進力となり、新たなセグメントの投資家や消費者が金を入手しやすくすると確信しています。歴史的に見て、特に安全な保管という点では、金における投資は大変難しくまた複雑なものとなりました。こうした商品の革新によって、ETF商品はもちろんオンライン専用の金取引業者など、金商品における新しいカテゴリーが生まれました。今では携帯電話からでもアクセスでき、金投資をよりシンプルで費用対効果が高い投資にしたのです。

技術進展が金へのアクセスを改善してくれることは間違いはないでしょう。しかしその一方、このような進展が金に新たなリスクをもたらすかどうかはまだ明らかではない状態です。ますますデジタル化が進む世界のなかで、金はその妥当性を失うのでしょうか。

私たちはそうは思っていません。金が持つ長い歴史とユニークな特性は、物事の変化が加速し、仮想的な商品とサービスの消費が増していく環境の中で、これまで以上に重要になってくると思います。

我々は、ビットコインやイーサリアム(次世代の仮想通貨、仮想通貨2.0として注目が集まっている)などの暗号通貨が持つポテンシャルを過小評価しているわけではありません。ただ、彼らのような仮想通貨たちが金の代替商品としての地位を確保するには長い道のりを必要とします。金が持つ広い市場と多様な需要源によって、金は代替資産として独自の性質を有するようになりました。さらに、仮想通貨の基盤でもある技術革新は、金市場におけるコストとのあつれきを減らすことに役立ってきています。

金市場関係者が欲しがっている具体的な技術といえば、ブロックチェーンや分散型台帳技術があります。金投資家たちにとってブロックチェーンは、商品提供者がより透明で安全な、一種匿名による取引記録を顧客に提供できる技術となりえますし、また金で裏付けされた支払サービスの実現にも役立つ可能性もあります。

ブロックチェーンは金の卸売市場を支える取引決済システムを拡張するか、あるいはとってかわる可能性があるでしょう。取引のライフサイクルにおける運用効率化の導入に加え、決済リスクの排除を目指してこの分野での機会を模索している企業もあります。さらに確実なのは、ブロックチェーンは金のサプライチェーンに変化をもたらす技術の一つになり得ることです。例えば、「採掘から保管まで」金における全ての段階を追跡することにも役立つと考えられます。金産地偽造防止の確立は、金市場はより透明で効率なものにするでしょう。また、紛争地域からの金密輸などの違法行為の撲滅にも役立つと思います。

総じて、WGCでは、現代技術は金への大きな可能性を秘めていると確信しています。