世界各国中央銀行の金保有の最新動向

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1.世界各国中央銀行における金保有

ブルース・ウィルス主演の『ダイハード3』で、テロリストグループが別の事件を発生させ、警官が手薄になった隙に、ニューヨーク連銀の地下倉庫から金を盗み出すシーンがありました。犯人グループは、連銀に忍び込み、ブルドーザーでトラックに運び込むというシーンでした。連銀はあんなにたくさんの金塊を保有しているのか!と見入った記憶があります。もちろん、デフォルメされて表現はされているとは思います。各国の中央銀行は、金を保有する重要アクターといってよいでしょう。

かつて金本位制が行われていたときは、各国通貨が金によって裏付けられていたため、金の保有は通貨制度とともにあったといってよいかと思います。金本位制が廃止されて以降は、各国中央銀行は、それぞれのポートフォリオ運用により金保有戦略を展開しています。それには、各国の経済事情(各国の通貨事情も含めて)、地政学的リスクなど様々な要因が絡んでいるでしょう。

次に、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が最近発表したランキングのアップデートを見てみましょう。

2.最近の傾向

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が2018年1月4日に公表した最新データによれば、各国中央銀行あるいは国際機関が保有する金保有量ランキング上位ベスト10は以下のようになっています。

表 中央銀行及び国際機関の金保有状況

ランキング国名保有量(単位:トン)
1位 米国 8,133.5
2位 ドイツ 3,373.6
3位 国際通貨基金(IMF) 2,814.0
4位 イタリア 2,451.8
5位 フランス 2,435.9
6位 中国 1,842.6
7位 ロシア 1,828.6
8位 スイス 1,040.0
9位 日本 765.2
10位 オランダ 612.5

出所:ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC) "Latest World Official Gold Reserves,January 4th, 2018"よりSBIゴールドが作成

米国は引き続き第一位。中国も金の保有に引き続き熱心で6位にランキングしており、その金保有量は、1,842.6トンに上ります。以前コラムで取り上げてプライベートセクターでも金需要の著しいドイツの国家保有も米国に次ぐ第2位に位置付けられています。

注目すべき傾向としては、第7位に入っているロシアです。ロシアは、WGCの別資料によれば、2017年第3四半期において63トンを購入しており、第3四半期の中央銀行による買い付けの57%を占めたといわれています(注)。

WGCの同上レポートによると、2017年第3四半期においては、ロシアに次いで、トルコ、カザフスタンなどイスラム諸国あるいは中央アジアの国の購入が目立ったとこのことです。

その他中央銀行が買い増した国としては、カタール、キルギスタン、インドネシア、モンゴルが挙げられています。

3.おわりに

各国のランキングには激変といったような大きな変動はないといってよいかと思います。ただやはり、注目されるのは、中国、ロシアなどの動きでしょう。

また、トルコを筆頭に中近東、アジアの中央銀行の金保有も引き続き注目されるところです。経済発展が著しく個人消費が伸び、金需要が増加する新興諸国においては、中央銀行の金の購入なども注目されます。

地政学的リスクや各国の通貨政策も含めて、各国中央銀行の金購入政策は、引き続き注目されると思います。

(注)World Gold Council, Gold Demand Trend Q3,2017 9th November 2017、P.10参照。