金は米利上げ観測で調整局面を継続

【金は北朝鮮情勢の行方も焦点】

9月25日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測や米国の税制改革に対する期待感を受けて調整局面を継続した。ニューヨーク金12月限は8月16日以来の安値1,278.2ドルを付けた。ダドリー・ニューヨーク連銀総裁は、米FRBは徐々に利上げを行う道筋をたどるとの見方を示した。またイエレン米FRB議長も講演で、段階的な利上げの継続が必要との見方を示した。なお同議長の任期は2018年2月で米大統領は今後2、3週間で再任するのか別の人材を指名するのかを決める考えを示した。米FRBは来年3回の利上げを見込んでいるが、ハト派の議長が就任すると金融政策の見通しが変わる可能性もあり、人事の行方を確認したい。一方、米国の税制改革案が発表され、年内に可決されるとの期待が出ている。法人税率は現行の35%から20%に引き下げる。ただ減税の財源確保や費用などについては詳細を明らかにせず、今後の議会での協議の行方が焦点である。CMEのフェドウォッチによると、12月の米FRBの利上げ確率は0.25%利上げが76.7%、0.50%利上げが1.2%となった。

トランプ米大統領が北朝鮮の李容浩外相の国連総会での演説を受けて「小柄なロケットマンの考えに同調するならば、彼らの先は長くない」とツイッターに投稿すると、同相が米大統領の最近の発言に対して「明白な宣戦布告だ」と述べるなどし、舌戦が続いた。ただ軍事的挑発は見られず、当面は金正恩朝鮮労働党委員長が述べた「史上最高の超強硬対応措置」がどうなるかが焦点である。週末は北朝鮮の兵器工場から複数のミサイルが搬出されたことが伝えられた。10日の朝鮮労働党創建記念日や18日開幕の中国共産党大会などに合わせて軍事的挑発がある可能性が出ている。米大統領は、北朝鮮側に対話の意思があるか打診していると明かしていたティラーソン米国務長官に「(北朝鮮との)交渉は時間の無駄」だと伝えたとツイートした。北朝鮮の反発が強まると、金ETF(上場投信)に逃避買いが入るとみられる。

金の独自材料では、インドの買い意欲が引き続き弱いことが指摘された。9月30日に同国の3大祭りのひとつであるダシェラ祭を控えていたが、前週の同国の金プレミアムは6ドルのディスカウントと、前々週の4ドルのディスカウントから下げ幅を拡大した。7月の物品サービス税導入や8月の資金洗浄対策法施行を受けて需要は弱いままとなった。一方、上海金のプレミアムが8~10ドル(前週4~5ドル)に上昇し、安値拾いの買いが入った。ただ今週の中国市場は国慶節で休場となる。大型連休で宝飾品の売り上げが堅調となるようなら、週明けに実需筋の在庫手当てが進むとみられるが、今週は実需筋の不在が下げ要因となる可能性もありそうだ。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月26日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは21万2,594枚となり、前週の23万6,089枚から縮小した。今回は手じまい売りが2万7,391枚、買い戻しが3,896枚入り、買い越しを2万3,495枚縮小した。一方、9月29日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比8.57トン増の864.65トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測などを受けて調整局面を迎えたが、北朝鮮情勢に対する懸念が残り、安値拾いの買いが入った。

【プラチナは米利上げ観測などで下値模索】

ニューヨーク・プラチナ1月限は米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測やドル高を受けて軟調となり、7月14日以来の安値914.4ドルを付けた。中国は2019年から大半の自動車メーカーに年間ベースで新エネルギー車の最低販売を義務付ける新たな規制を発表した。30年までに炭素排出量を抑え、大気汚染の悪化に歯止めをかける方針を示しており、英国やフランスと同様にガソリンやディーゼルを使う自動車の廃止に向けたスケジュールを探っている。一方、インドの自動車メーカー、タタ・モーターズは電気自動車(EV)1万台を供給する契約をインド政府から受注した。EVへのシフトが意識されると、プラチナの圧迫要因になりそうだ。ただパラジウムとの価格が逆転し、割安となった。金プラチナ比差も過去最大のマイナス幅を記録しており、900ドルの節目で下げ止まるかどうかがテクニカル面での焦点になりそうだ。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月26日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万5,363枚となり、前週の3万1,648枚から縮小した。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、19日のロンドンで11.43トン、29日のニューヨークで17.22トン(22日17.22トン)、28日の南アで25.79トン(同25.79トン)と横ばいとなった。

【原油はクルド人自治区の行方などを確認】

ニューヨーク原油は、イラク北部のクルド人自治区の住民投票で原油供給の先行き懸念が出たことや、米国の原油在庫減少などを受けて堅調となり、4月17日以来の高値52.86ドルを付けた。クルド人自治区の住民投票で独立が賛成多数となった。自治区には油田地帯キルクークがあるが、イラクや周辺国と対立し、トルコが石油パイプラインの遮断を示唆した。同地帯の生産量は日量70万バレルとみられており、原油供給が減少すると支援要因になりそうだ。一方、米エネルギー情報局(EIA)が発表した9月22日までの週間石油統計で、原油在庫が前週比184万6,000バレル減少し、事前予想の230万バレル増加から予想外に減少した。輸出急増が背景にあり、在庫減少が続くかどうかを確認したい。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された9月29日までの週の米石油リグ稼動数は前週比6基増の750基となり、8月11日以来の増加となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月26日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは45万4,108枚となり、前週の41万8,074枚から拡大した。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は9月29日時点で2億1,910万株となり、前週末比1,150万株減少した。戻り場面で利食い売りが出た。

【10月2日からの週の注目ポイント】

2日 日銀短観(9月調査) ☆☆
米ISM製造業景況指数(9月) ☆☆☆
ダラス連銀総裁、講演
3日 豪中銀政策金利 ☆☆☆
米自動車販売(9月)
パウエルFRB理事、イベント参加 ☆☆
4日 米ADP雇用者数(9月) ☆☆
米ISM非製造業景況指数(9月) ☆☆☆
イエレンFRB議長、講演 ☆☆☆
5日 ECB議事録 ☆☆
米製造業新規受注(8月) ☆☆
米新規失業保険申請件数(29日までの週) ☆☆
パウエルFRB理事、講演 ☆☆
サンフランシスコ連銀総裁、講演 ☆☆
フィラデルフィア連銀総裁、講演 ☆☆
カンザスシティー連銀総裁、講演 ☆☆
6日 米雇用統計(9月) ☆☆☆
NY連銀総裁、講演 ☆☆
ダラス連銀総裁、講演 ☆☆
セントルイス連銀総裁、講演 ☆☆
アトランタ連銀総裁、講演 ☆☆
ムーディーズ米格付け発表 ☆☆

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ニューヨーク金は調整局面も投資資金の動向が焦点
ニューヨーク金12月限は8月16日以来の安値1,278.2ドルを付けた。RSIに下げ余地があり、1,250ドルの節目を目指している。ただ北朝鮮情勢に対する懸念が残っており、金ETF(上場投信)に投資資金が流入すると下げ止まる可能性がある。

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