金は米利上げ加速観測後退で下げ一服に

【金は米中通商協議も焦点】

 5月7日の週のニューヨーク金市場は、もみ合ったのち、予想以下の米消費者物価指数(CPI)を受けてレンジを上放れた。6月限は米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速観測が後退し、ドル高が一服したことが支援要因となり、4月27日以来の高値1,326.3ドルを付けた。

 トランプ米大統領が、イランと欧米など6カ国が2015年に締結した核合意から離脱し、対イラン経済制裁を再開すると表明したことを受けて原油が一段高となり、今後のインフレ圧力になるとみられている。ニューヨーク原油は2014年11月以来の高値71.89ドルを付けた。ただ米10年債利回りは一時3%台を回復したが、予想以下の米消費者物価指数(CPI)を受けて上昇が一服した。米CPIは前月比0.2%上昇と、3月の0.1%下落から持ち直したが、事前予想の0.3%上昇は下回った。また4月の米輸入物価指数も前月比0.3%上昇したが、事前予想の0.5%上昇を下回った。石油製品が上昇する一方、食品が値下がりし、全体の伸びを抑制した。今後発表される米経済指標でインフレ動向を確認したい。

 今週は米中通商協議が再開される。3~4日の協議では、重要点で相違埋まらず、対話継続で合意するに留まった。ただトランプ米大統領と中国の習近平国家主席は8日、電話会談し、貿易摩擦の解決に向けて引き続き努力することで一致した。中国の副首相が今週、訪米し、協議を再開する見通しとなっており、貿易摩擦を回避できるかどうかを確認したい。米セントルイス地区連銀のブラード総裁は、貿易摩擦の高まりは米経済に不透明性をもたらしたものの、問題の解消に向けて実施される政策次第で米経済に好材料となる可能性があるとの見解を示している。

 トランプ米大統領は10日、史上初となる米朝首脳会談を6月12日にシンガポールで開催すると明らかにした。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は7~8日、中国を訪れ、習近平国家主席と大連市で会談した。金委員長は習主席に対し、関係国が朝鮮半島における非核化と恒久平和の実現に向け「段階的」かつ「一致した」方策を取るよう望むと述べた。またポンペオ米国務長官は9日、北朝鮮を再び訪問した。北朝鮮は、抑留していた米国人3人を解放し、同長官に引き渡した。会談に向けた準備が進んでいるが、金委員長が短期間で2回訪中したことは米国の強硬姿勢が変わらず、中国に助けを求める格好となった。北朝鮮の非核化について、米国は「先に核放棄、見返りは後」というリビア方式から、「自発的な非核化」の南ア方式に要求のハードルを上げたと伝えられている。北朝鮮が米国の要求を受け入れなければ会談が決裂する可能性も残っている。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月8日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは10万7,440枚となり、前週の10万6,779枚から拡大した。今回は手じまい売りが1万1,029枚、買い戻しが1万1,690枚出て、買い越しを661枚拡大した。一方、5月11日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.49トン減の857.64トンとなった。ドル高見通しが強いなか、投資資金が流出した。

【プラチナはドル高一服や株高が支援要因に】

 ニューヨーク・プラチナ7月限は、ドル高一服や株高を受けて堅調となり、4月25日以来の高値930.7ドルを付けた。予想以下の米消費者物価指数(CPI)を受けてドル高が一服した。またパラジウム堅調や原油の一段高も支援要因である。ただ今週は米中通商協議が再開される。貿易摩擦が回避できなければプラチナの上値を抑える要因になるとみられる。協議の行方を確認したい。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月8日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万0,388枚となり、前週の1万0,764枚から縮小した。新規売りが新規買いを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11日のロンドンで11.13トン(4日11.19トン)、ニューヨークで16.72トン(同17.31トン)に減少、南アで25.30トン(同25.30トン)と横ばいとなった。

【NY原油はイラン減産の見方で70ドル突破】

 ニューヨーク原油は、米大統領のイラン核合意離脱発表を受けて堅調となり、2014年11月以来の高値71.89ドルを付けた。米国の制裁再開でイランの原油生産が減少するとみられている。ただ欧州諸国は核合意を維持することを表明しており、イランの減産が限定的となる可能性も出ている。米国は新たな合意に向けイランと交渉する用意があるとしており、今後の行方を確認したい。米エネルギー情報局(EIA)が発表した5月4日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比219万7,000バレル減少した。事前予想は100万バレル増から予想外に減少した。米原油生産量は日量1,070万3,000バレルとなり、週次の統計開始以来の最高を更新した。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された5月11日までの週の米石油リグ稼動数は前週比10基増の844基となった。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月8日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは67万9,928枚となり、前週の69万0,727枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は11日時点で1億3,720万株となり、前週末比120万株減少した。

【5月14日からの週の注目ポイント】

14日 セントルイス連銀総裁、講演
クリーブランド連銀総裁、講演
15日 中国小売売上高(4月)
中国鉱工業生産(4月)
独GDP速報値(第1四半期) ☆☆
米小売売上高(4月) ☆☆☆
ダラス連銀総裁、講演
サンフランシスコ連銀総裁、講演
上院委、次期FRB副議長らの指名承認公聴会
16日 日本GDP速報値(第1四半期) ☆☆
米鉱工業生産(4月)
米住宅着工件数(4月)
アトランタ連銀総裁、講演
セントルイス連銀総裁、講演
タイ中銀政策金利
ブラジル中銀政策金利
17日 豪雇用統計(4月) ☆☆☆
米景気先行指数(4月)
米新規失業保険申請件数(12日までの週)
ダラス連銀総裁、講演
ミネアポリス連銀総裁、講演
インドネシア中銀政策金利
18日 18日日本消費者物価指数(4月) ☆☆
ブレイナードFRB理事、講演
ダラス連銀総裁、講演
クリーブランド連銀総裁、講演

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ニューヨーク金は値固めから上昇に転じる
ニューヨーク金6月限はもみ合ったのち、レンジ上放れとなり、4月27日以来の高値1,326.3ドルを付けた。予想以下の米消費者物価指数(CPI)を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速観測が後退したことが支援要因になった。テクニカル面では200日移動平均線から上昇し、堅調であるが、金ETF(上場投信)から投資資金が流出し、上値を抑える要因になっている。今週は米中通商協議があり、貿易摩擦を回避できるかどうかが焦点である。

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2018年5月14日

提供:ALL先物比較