金はドル高が圧迫も1,300ドル台を維持

【金は米財務長官の訪中や米雇用統計も焦点】

 4月30日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しによるドル高が圧迫要因となったが、6月限は2017年12月以来の安値1,302.3ドルを付けたのち、下げ一服となった。

 欧米の金融政策の見通しの違いを受けて金利差が拡大するなか、ドル高が進み、ドル指数は2017年12月以来の高値92.90を付けた。米国で国債増発に対する懸念やインフレ圧力が強まるなか、米連邦準備理事会(FRB)の利上げは年3回から4回見込まれているのに対し、欧州中央銀行(ECB)の緩和解除の見方やイングランド銀行の利上げ観測が後退した。1日の欧州債券市場で米10年債と独10年債の利回り差が29年ぶりの水準近くに拡大し、ドル高が進みやすい状況となっている。1~2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利が据え置かれたが、6月の利上げ観測が強い。声明文では「インフレは2%に接近した」となっており、当面は10日発表の4月の米消費者物価指数(CPI)を確認することになりそうだ。一方、4月の米雇用統計は事前予想を下回ったが、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しを大きく変えることはなかった。非農業部門雇用者数は前月比16万4,000人増と、事前予想の19万2,000人増を下回った。3月の雇用者数は10万3,000人増から13万5,000人増へ上方改定された。失業率は、労働参加率が低下する中で17年半ぶりの低水準となる3.9%に低下した。3月は4.1%。1時間当たりの平均賃金は前月比0.1%増と緩やかな伸びとなった。3月は0.2%増。

 3~4日のムニューシン米財務長官の訪中で米中通商協議は重要点で相違埋まらず、対話継続で合意した。米ホワイトハウスは、2日間に及ぶ米中通商協議で「率直な」議論が行われたとし、次の措置を巡ってはトランプ大統領が決定すると発表した。米大統領の決定や今後の交渉の行方を確認したい。また今週は週末12日が米国のイラン核合意の見直しの期限となっている。イスラエルのネタニヤフ首相は、イランに核兵器製造の極秘プログラムがあったことを示す同国の資料をイスラエルは大量に保有していると明らかにしており、米国が核合意から離脱すると、地政学的リスクが高まることになりそうだ。一方、トランプ米大統領は4日、米朝首脳会談に関し「日程と場所を確定できた。近く発表する」と述べた。南北の軍事境界線がある板門店の韓国側施設やシンガポールでの開催の可能性に言及している。米朝首脳会談で北朝鮮の非核化の動きが明確に示されるかどうかが当面の焦点である。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月1日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは10万6,779枚となり、前週の13万6,646枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万6,227枚、新規売りが1万3,640枚出て、買い越しを2万9,867枚縮小した。一方、5月4日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比7.07トン減の864.13トンとなった。ドル高見通しが強まるなか、投資資金が流出した。

【プラチナは900ドル割れで下げ一服】

 ニューヨーク・プラチナ7月限は、ドル高などを受けて2017年12月以来の安値893.1ドルを付けたのち、ドル高一服や金反発を受けて下げ一服となった。米連邦準備理事会(FRB)の6月利上げ観測が強いが、予想以下の米雇用統計などを受けてドルに利食い売りが出たことが下支えとなった。ただ米中通商協議で対話継続とされ、トランプ米大統領の対応や今後の交渉の行方を確認したい。貿易摩擦を回避できなければプラチナの上値を抑える要因になる。また今週末は米国のイラン核合意見直しの期限であり、金や原油の反応も焦点である。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月1日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万0,764枚となり、前週の1万7,832枚から縮小した。新規売りが新規買いを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、4日のロンドンで11.19トン(27日11.41トン)に減少、ニューヨークで17.31トン(同17.31トン)、南アで25.30トン(同25.30トン)と横ばいとなった。

【NY原油はイラン核合意に対する懸念で70ドル直前まで上昇】

 ニューヨーク原油は、イランに対する懸念などを受けて堅調となり、2014年11月以来の高値69.97ドルを付けた。米国のイラン核合意見直しの期限を12日に控え、先行き懸念が強い。米国の原油リグ稼働数が5週連続で増加したが、石油輸出国機構(OPEC)の月間報告でOPECの原油生産が2017年3月以来の低水準となり、需給引き締めの可能性が出ていることも支援要因である。米エネルギー情報局(EIA)が発表した4月27日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比621万8,000バレル増加した。事前予想は123万バレル増。また米原油生産量は日量1,061万9,000バレルとなり、週次の統計開始以来の最高を更新した。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された5月4日までの週の米石油リグ稼動数は前週比9基増の834基となった。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月1日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは69万0,727枚となり、前週の71万2,423枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は4日時点で1億3,840万株となり、前週末比70万株増加した。

【5月7日からの週の注目ポイント】

7日 クオールズFRB副議長、講演
アトランタ連銀総裁、講演
ダラス連銀総裁、講演
シカゴ連銀総裁、講演
8日 中国貿易収支(4月)
豪小売売上高(3月) ☆☆
9日 米生産者物価指数(4月)
米週間原油在庫統計
NZ中銀政策金利 ☆☆
アトランタ連銀総裁、講演
10日 日本国際収支(3月)
中国消費者物価指数(4月)
中国生産者物価指数(4月)
英中銀政策金利
英中銀四半期インフレ報告 ☆☆
米消費者物価指数(4月) ☆☆☆
米新規失業保険申請件数(5日までの週)
11日 米輸入物価指数(4月)

*重要度を3段階で表示

sbi-h-c-20180507.jpg

ニューヨーク金は1,300ドル台を維持
ニューヨーク金6月限はドル高を受けて軟調となり、2017年12月日以来の安値1,302.3ドルを付けた。ただ3月安値や200日移動平均線を割り込んだが、1,300ドル台を維持し、下げ一服となった。4月の米雇用統計が事前予想を下回り、ドルの利食い売りが出たことが下支え要因だが、金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、下落リスクが残る。当面は1,300ドル台で値固めできるかどうかがテクニカル面の焦点である。10日には4月の米消費者物価指数(CPI)の発表があり、金融政策の見通しとドル相場の反応を確認したい。

sbi-gold-20180507.jpg

2018年5月7日

提供:ALL先物比較