金はドル高や北朝鮮の非核化合意が圧迫要因に

【金は米財務長官の訪中や米雇用統計も焦点】

 4月23日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測によるドル高を受けて軟調となり、6月限は3月1日以来の安値1,310.7ドルを付けた。米10年債利回りが3.035%まで上昇し、2014年1月以来の高水準となった。米国債の増発に対する懸念や原油高によるインフレ圧力に対する警戒感を受けて長期金利が上昇した。ただ長期金利は3%台で上昇が一服しており、今後の動向を確認したい。目先は米連邦公開市場委員会(FOMC)が1~2日にあり、金融政策の見通しを確認したい。また今週は4日に4月の米雇用統計の発表がある。事前予想は非農業部門雇用者数が19万人増、失業率が4.0%(前月4.1%)、平均時給が前月比0.2%増となっている。

 板門店の韓国側で27日、南北首脳会談が行われた。共同宣言では、「南と北は、完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」と朝鮮半島の非核化が盛り込まれた。北朝鮮は21日、核実験中止や核実験場廃棄などの決定を表明していた。また「恒久的で強固な平和体制構築のために、南・北・米の3か国、または南・北・米・中の4か国の協議開催を積極推進することになった」とされ、今後の協議の行方を確認したい。トランプ米大統領は30日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との主要会談について、南北軍事境界線がある板門店の韓国側施設「平和の家」で行うことを示唆しており、次は米朝首脳会談に向けた動きを確認したい。一方、2015年にイランと欧米など主要6カ国が結んだ核合意の行方も焦点である。米大統領は、判断期限は5月12日までとし、核合意から離脱するかもしれないと警告している。マクロン仏大統領やメルケル独主導が核合意継続で米大統領と協議したが、イスラエルのネタニヤフ首相は、イランに核兵器製造の極秘プログラムがあったことを示す同国の資料をイスラエルは大量に保有していると明らかにしており、米国の核合意離脱の可能性が高まった。

 マクロン仏大統領は25日、米議会の上下両院合同会議で演説し、国家主義的、米国単独主義的政策は世界的な繁栄に対する脅威だと述べた。メルケル独首相も、自由貿易の重要性を強調しており、貿易問題の協議の行方も焦点である。トランプ米大統領は24日、ムニューシン米財務長官と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が中国を訪問し、貿易問題を協議することを明らかにした。米財務長官は、訪中は5月3~4日を予定しているとし、対中貿易赤字の削減に向けた方策や、中国の知的財産侵害への対策を協議するとした。貿易摩擦の回避に向けて、進展がみられるかどうかも焦点である。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月24日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは13万6,646枚となり、前週の16万3,069枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万1,484枚、新規売りが1万4,939枚出て、買い越しを2万6,423枚縮小した。一方、4月30日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は20日比5.31トン増の871.20トンとなった。株安に対する懸念が強まるなか、安値拾いの買いが入った。

【プラチナはドル高や株安懸念が圧迫】

 ニューヨーク・プラチナ7月限は、ドル高や株安に対する懸念を受けて軟調となり、2017年12月以来の安値903.1ドルを付けた。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測によるドル高に加え、米長期金利上昇で株安に対する懸念が強まったことが圧迫要因になった。またパラジウムが1,000ドル台で上げ一服となったことも下げ要因である。当面はムニューシン米財務長官の訪中で貿易摩擦の回避に向けて協議が進展するかどうかも焦点である。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月24日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万7,832枚となり、前週の1万7,647枚から拡大した。新規買いが新規売りを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、30日のロンドンで11.21トン(20日11.45トン)に減少、ニューヨークで17.31トン(同17.31トン)と横ばい、南アで25.30トン(同25.09トン)に増加した。

【NY原油は米国のイラン核合意に対する措置が焦点】

 ニューヨーク原油は、米国のリグ稼働数増加などに上値を抑えられたが、イラン制裁の行方が警戒され、堅調となった。イスラエル首相の発言を受けて米国のイラン核合意離脱に対する警戒感が強まっており、判断期限となる5月12日までの動きが焦点である。米エネルギー情報局(EIA)が発表した4月20日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比217万バレル増加した。事前予想は225万バレル減。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された4月27日までの週の米石油リグ稼動数は前週比5基増の825基となった。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月24日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは71万2,423枚となり、前週の72万8,131枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は30日時点で1億4,150万株となり、20日比310万株増加した。

【4月30日からの週の注目ポイント】

30日 中国製造業PMI(4月) 51.4
米個人支出(3月) +0.4%
米PCEデフレータ(3月) +2.0%
米中古住宅販売仮契約指数(3月) +0.4%
1日 豪中銀政策金利 ☆☆☆
ロウ豪中銀総裁、講演
ポロズ加中銀総裁、講演
米ISM製造業景況指数(4月) ☆☆☆
2日 ユーロ圏GDP速報値(第1四半期)
米ADP雇用者数(4月)
米週間原油在庫統計
米FRB政策金利 ☆☆☆
3日 豪貿易収支(3月)
米貿易収支(3月) ☆☆
米耐久財受注(3月)
米製造業新規受注(3月)
米ISM非製造業景況指数(4月)/td> ☆☆
4日 豪中銀四半期金融政策報告 ☆☆
米雇用統計(4月) ☆☆☆
ダドリーNY連銀総裁、講演 ☆☆

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ニューヨーク金は200日移動平均線を試す
ニューヨーク金6月限はドル高を受けて軟調となり、3月1日以来の安値1,310.7ドルを付けた。200日移動平均線を試しており、レンジ下限である同日安値1,309.3ドルを割り込むと、テクニカル要因の売りを受けて一段安となる可能性が出てきた。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が高まっており、ドル高が続くと、圧迫要因になるとみられる。ただ株安に対する警戒感も強まっており、ヘッジとして買われると下支え要因になる。

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2018年5月1日

提供:ALL先物比較