金は貿易戦争に対する懸念やドル安が下支え

【金ETFに投資資金が流入】

 4月2日週のニューヨーク金市場は、ドル高を受けて戻りを売られる場面も見られたが、米中間の貿易戦争に対する懸念などが下支えとなった。米通商代表部(USTR)は3日、中国からの輸入品に対する25%の追加関税について、対象が約1,300品目に上り、年間500億ドル程度に相当することを明らかにした。中国政府は4日、米国の制裁関税に対する報復措置案を発表し、貿易戦争に対する懸念が高まった。大豆や小麦、自動車、航空機など106品目の米製品に25%の関税を上乗せする。また中国は世界貿易機関(WTO)紛争解決制度に基づく米国との協議入りを申し立てた。ただ交渉の余地が残っていることから、貿易戦争に対する懸念は一服し、ドル高に振れた。しかし、トランプ米大統領は5日、米USTRに新たに中国輸入品1,000億ドルを対象とした追加関税を検討するよう指示した。また米紙ウォールストリート・ジャーナルは、米大統領が外国から輸入された自動車だけを対象とする環境規制強化の検討を指示したと報じた。米国の保護主義の動きがエスカレートすると、先行き懸念から金に逃避買いが入って支援要因になるとみられる。

 3月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数が前月比10万3,000人増と、2017年9月以来の小幅な増加となった。事前予想は19万3,000人増。一方、賃金の伸びは加速し、労働市場の引き締まりを示した。3月は前年同月比2.7%増と、前月の2.6%増から加速した。失業率は4.1%と前月から横ばいとなった。雇用者数が半年ぶりの低い伸びとなったことを受けて米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が後退した。パウエル米FRB議長は6日の講演で、FRBはインフレの制御に向け利上げを継続する必要がある公算が大きいとの見解を示した。米中間の貿易を巡る緊張の高まりについては言及せず、これまで同様の見方が示された。

 サリバン米国務長官代行は4日、中国の崔駐米大使と会談し、北朝鮮問題を協議した。米中両国として「完全かつ検証可能で不可逆的な朝鮮半島の非核化」を目指すことを改めて確認した。ただ北朝鮮の非核化については、中朝首脳会談後に中国が北朝鮮は「段階的で同時並行的な解決策」を求めていると発表したのに対し、米国は「先に核を放棄し、その後で補償(支援)を行う」リビア方式を主張している。韓国は北朝鮮にリビア方式は無理との見方を示しており、27日の南北首脳会談でどのような話し合いが行われるかが焦点になりそうだ。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月3日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは16万6,589枚となり、前週の20万3,354枚から縮小した。今回は手じまい売りが2万4,355枚、新規売りが1万2,410枚出て買い越しを3万6,765枚縮小した。一方、4月6日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比13.87トン増の859.99トンとなった。米中間の貿易戦争に対する懸念を受けて投資資金が流入した。

【プラチナは貿易戦争に対する懸念が圧迫要因】

 ニューヨーク・プラチナ7月限は、ドル高や米中間の貿易戦争に対する懸念を受けて軟調となり、2017年12月以来の安値910.3ドルを付けた。米中間の貿易摩擦激化によって、米国でスポーツタイプ多目的車(SUV)を生産して中国に輸出しているドイツの高級自動車メーカーや、電気自動車大手テスラ、フォード・モーターなどが打撃を受けるとの見方が出ている。パラジウムの調整局面が続き、プラチナとの価格が逆転しており、パラジウム下落が続くと、900ドルの節目を試す可能性が出てくる。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月3日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万3,743枚となり、前週の2万8,039枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、6日のロンドンで11.25トン(29日11.24トン)に増加、4日のニューヨークで17.61トン(同17.61トン)、6日の南アで25.10トン(同25.10トン)と横ばいとなった。

【NY原油は調整局面を継続】

 ニューヨーク原油は、株高が下支えとなる場面も見られたが、貿易戦争に対する懸念を受けて戻りを売られた。米原油在庫減少も下支えとなったが、リスク回避の動きが出たことが上値を抑えた。米エネルギー情報局(EIA)が発表した3月30日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比461万7,000バレル減少した。事前予想は200万バレル増。米原油生産量は日量1,046万バレルと過去最高を更新した。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された4月6日までの週の米石油リグ稼動数は前週比11基増の808基となった。

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月3日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは69万9,545枚となり、前週の71万5,770枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は6日時点で1億4,970万株となり、前週末比970万株増加した。

【4月9日からの週の注目ポイント】

9日 日本国際収支(2月)
IMF世界経済見通し
10日 米生産者物価指数(3月) ☆☆
ダラス連銀総裁、講演 ☆☆
11日 中国消費者物価指数(3月)
中国生産者物価指数(3月)
米消費者物価指数(3月) ☆☆☆
FOMC議事録(3月20日、21日開催分)/td> ☆☆☆
北朝鮮最高人民会議開催
12日 米輸入物価指数(3月)
米新規失業保険申請件数(7日までの週)
ネアポリス連銀総裁、講演
13日 中国貿易収支(3月)
ダラス連銀総裁、講演
ボストン連銀総裁、講演
セントルイス連銀総裁、講演 

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ニューヨーク金は調整局面もETFに投資資金が流入
 ニューヨーク金6月限はドル高を受けて調整局面を迎えた。レンジ上限を突破できず、利食い売りが出た。ただ米中間の貿易戦争に対する懸念を受けて金ETF(上場投信)に投資資金が流入したことが下支え要因である。3月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が半年ぶりの低い伸びとなり、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が後退したことも支援要因であり、レンジ内で地合いを引き締める可能性が出てきた。支持線は3月1日の安値1,309.3ドル。

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2018年4月9日

提供:ALL先物比較