金は欧米の連休明け後のドル相場を確認

【金は米保護主義でドル安再開なら支援要因に】

3月26日週のニューヨーク金市場は、6月限が2月16日以来の高値1,362.6ドルを付けたのち、反落した。月末や欧米の連休を控えてドルが買い戻されたことが圧迫要因になった。ただ中国は米国が課した鉄鋼・アルミニウムの輸入関税に対する報復措置で2日から米国からの輸入品128項目に高関税をかける。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ予想据え置きもあり、欧米の連休明け後にドル安が再開すると、金の支援要因になるとみられる。一方、貿易戦争回避のための交渉も始まった。ムニューシン米財務長官と中国の経済政策担当副首相の劉鶴氏との間で交渉が行われ、米政権は中国に対して自動車関税の引き下げと米国の金融サービスへの市場開放を要請した。また中国の知的財産侵害への制裁関税を巡って、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が中国との交渉期間を「2カ月」に区切る考えを示した。金はレンジ上限付近で上値を抑えられており、貿易戦争がエスカレートすることがなければレンジ相場が続く可能性がある。

中朝首脳会談で北朝鮮の対話に向けた動きが続いていることも金の上値を抑える要因である。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が中国を訪問し、北京で中国共産党の習近平総書記(国家主席)と会談した。朝鮮半島の非核化実現に尽力する、と表明する一方、見返りとして米国と韓国による「和平実現のための段階的な措置」に言及し、米国に圧力路線からの転換を求めた。5月までに予定されている米朝首脳会談を控え、進展が見られており、地政学的リスクが後退するようなら金の上値を抑える要因になりそうだ。また韓国の政府当局者は、南北首脳会談を4月27日に開催することを明らかにした。

一方、ロシアの元スパイ暗殺未遂事件で政治的緊張が高まったことは金の支援要因である。トランプ米政権は、3月上旬に英国で起きたロシア元スパイの暗殺未遂事件にロシアが関与したとして、米国内のロシア外交官ら60人を国外に追放した。またシアトルのロシア領事館も閉鎖する。欧州連合(EU)加盟国もロシア外交官の国外追放を発表しており、欧米とロシアとの政治的緊張が高まった。ロシアは対抗措置として、米外交官60人を国外退去処分とし、在サンクトペテルブルク米総領事館の閉鎖を命じた。トランプ米大統領はメイ英首相と電話で会談し、ロシアのスパイ網壊滅で合意しており、今後はスパイを巡る動きも確認したい。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月27日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは3月27日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは20万3,354枚となり、前週の14万8,731枚から拡大した。今回は新規買いが3万5,150枚、買い戻しが1万9,473枚入り、買い越しを5万4,623枚拡大した。一方、3月29日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.42トン減の846.12トンとなった。ドル安による上昇場面で利食い売りが出た。

【プラチナはドル高やパラジウム一段安が圧迫要因】

ニューヨーク・プラチナ7月限は、ドル高やパラジウム一段安を受けて軟調となり、2017年12月以来の安値931.9ドルを付けた。パラジウムは貿易戦争に対する懸念や米新車販売の減少見通し、株安によるリスク回避の動きなどを受けて調整局面を継続した。ただ大幅な供給不足見通しに変わりはなく、ドル安が再開すると、下支え要因になるとみられる。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月27日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万8,039枚となり、前週の2万9,071枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、29日のロンドンで11.24トン(23日11.27トン)に減少、26日のニューヨークで17.61トン(同17.61トン)、29日の南アで25.10トン(同25.10トン)と横ばいとなった。

【NY原油は調整局面を迎える】

ニューヨーク原油は、利食い売りや原油在庫増加などを受けて調整局面を迎えたが、産油国の協調減産期間の延長に対する見方が下支えとなった。サウジアラビアが協調減産継続の見方を示すなか、ルアイビ・イラク石油相が2019年半ばまでの延長を検討していると述べた。イランやベネズエラなど一部の石油輸出国機構(OPEC)加盟国に供給不安があることも支援要因であり、レンジ上限を突破すればテクニカル要因の買いが入って一段高となる可能性がある。米エネルギー情報局(EIA)が発表した3月23日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比164万バレル増加した。事前予想は85万バレル増。また米原油生産量は日量1,043万3,000バレルと過去最高を更新した。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された3月29日までの週の米石油リグ稼動数は前週比7基減の797基となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月27日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは71万5,770枚となり、前週の70万3,708枚から拡大した。新規買いが新規売りを上回った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は29日時点で1億4,000万株となり、前週末比330万株減少した。

【4月2日からの週の注目ポイント】

2日 日銀短観(第1四半期) ☆☆
米ISM製造業景況指数(3月) ☆☆☆
3日 日銀企業物価見通し
豪中銀政策金利 ☆☆☆
米自動車販売統計(3月)
ブレイナードFRB理事、講演
ミネアポリス連銀総裁、講演
4日 米ADP雇用者数(3月) ☆☆
米製造業新規受注(2月)
米ISM非製造業景況指数(3月) ☆☆
セントルイス連銀総裁、講演
クリーブランド連銀総裁、講演
5日 豪貿易収支(2月) ☆☆
米貿易収支(2月) ☆☆
米新規失業保険申請件数(31日までの週)
アトランタ連銀総裁、講演
6日 米雇用統計(3月) ☆☆☆
パウエルFRB議長、講演 ☆☆

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ニューヨーク金は抵抗線を突破できず
ニューヨーク金6月限は2月16日以来の高値1,362.6ドルを付けたのち、ドル高を受けて反落した。1,350ドル以上の複数の抵抗線を突破できずに上げ一服となった。ただレンジ内の動きとなっている。米国の保護主義に対する懸念が残っており、当面は欧米の連休明け後にドル安が再開すると再び上値を試す可能性がある。支持線は3月1日の安値1,309.3ドル。

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2018年4月2日

提供:ALL先物比較