金は貿易戦争に対する懸念などが支援要因

【金は米FOMC後のドル安も支援】

3月19日週のニューヨーク金市場は、4月限が1日以来の安値1,306.6ドルを付けたのち、急反発した。米連邦公開市場委員会(FOMC)後にドル安に振れたことや、貿易戦争に対する懸念が高まったことが支援要因になった。米FOMCでは利上げが決定されたが、今後の利上げ予想が据え置かれた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、「理論上は、持続可能な失業率の水準を長期間下回ればインフレ加速が見込まれるだろう」と述べ、「われわれはそれに非常に注意を払っている。しかし、現時点では観察されていない」と指摘し、慎重姿勢を示した。一方、トランプ米大統領は、中国の知的財産権侵害を巡り、最大600億ドル規模の中国製品に対し関税を課すこと目指す大統領覚書に署名した。中国商務省は米国の保護主義に断固として反対する姿勢を表明し、米国からの鉄鋼や豚肉などの輸入品30億ドル相当に相互関税を課す計画を発表した。ただ米中間の通商関係が「危険な状態」に達するのを回避するよう米国に訴えた。ムニューシン米財務長官は、米大統領は姿勢を軟化させるつもりはなく、貿易戦争も恐れていないと述べており、貿易戦争がエスカレートするかどうかが今後の焦点である。また米大統領は、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が4月9日に辞任すると発表した。後任に強硬派のジョン・ボルトン氏を充てるという。米朝首脳会談を5月に控えており、北朝鮮に対する強い姿勢が示されると、金ETF(上場投信)に逃避買いが入る可能性が出てくる。

金価格が急伸するなか、インドで実需筋の買いが見送られた。前週の金プレミアムは最大7ドルのディスカウントとなった。前々週は3ドルのディスカウント。需要が低迷しており、今月の輸入は急減するとみられている。高値で実需筋の買い見送りが続くと、金が上昇するかどうかは投資需要に左右されることになりそうだ。一方、中国では8ドルのプレミアムとなり、前々週から横ばいとなった。米中間の貿易戦争に対する懸念が出ており、中国勢の投資需要の行方も焦点である。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月20日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは14万8,731枚となり、前週の16万7,948枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万0,549枚、新規売りが8,668枚出て、買い越しを1万9,217枚縮小した。一方、3月23日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比10.32トン増の850.54トンとなった。ドル高による下落場面で安値拾いの買いが入った。

【プラチナはリスク回避に上値を抑えられる】

ニューヨーク・プラチナ4月限は、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安を受けて15日以来の高値963.8ドルを付けたが、株価急落などリスク回避の動きを受けて上げ一服となった。再び950ドルを割り込んでおり、米中間の貿易戦争の行方を確認したい。一方、米国の鉄鋼・アルミニウムの輸入関税に関して、欧州連合(EU)は適用除外となった。自動車販売の減少に対する懸念が後退すると、下支え要因になるとみられる。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月20日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万9,071枚となり、前週の3万3,433枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、23日のロンドンで11.27トン(16日11.24トン)、22日のニューヨークで17.61トン(同17.61トン)、23日の南アで25.10トン(同25.10トン)と横ばいとなった。

【NY原油は2月高値を試す動き】

ニューヨーク原油は、貿易戦争に対する懸念に上値を抑えられる場面も見られたが、米原油在庫減少やサウジアラビアの協調減産継続を受けて堅調となり、2月2日以来の高値66.00ドルを付けた。米国がイランに対する経済制裁を再開する可能性があることや、ベネズエラの経済危機で供給に対する懸念も出ており、2月高値66.66ドルを試す可能性が出てきた。米エネルギー情報局(EIA)が発表した3月16日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比262万2,000バレル減少した。事前予想は250万バレル増。ただ米原油生産量は日量1,040万7,000バレルと過去最高を更新した。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された3月23日までの週の米石油リグ稼動数は前週比4基増の804基となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月20日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは70万3,708枚となり、前週の66万8,533枚から拡大した。新規買い・買い戻しが入った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は23日時点で1億4,330万株となり、前週末比790万株減少した。

【3月26日からの週の注目ポイント】

26日 NY連銀総裁、講演 ☆☆
クリーブランド連銀総裁、講演 ☆☆
クオールズFRB副議長、講演 ☆☆
27日 佐川前国税庁長官の証人喚問 ☆☆
米消費者信頼感指数(3月)
米S&Pケースシラー住宅価格指数(1月)
アトランタ連銀総裁、講演 ☆☆
28日 米GDP確報値(第4四半期) ☆☆
アトランタ連銀総裁、講演 ☆☆
29日 米個人所得支出(2月) ☆☆☆
米新規失業保険申請件数(24日までの週)
フィラデルフィア連銀総裁、講演 ☆☆
30日 日本雇用統計(2月)
欧州、米国市場はグッドフライデー祝日で休場 ☆☆
31日 中国製造業PMI(3月) ☆☆

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ニューヨーク金は1,350ドルの節目を試す
ニューヨーク金4月限は3月1日以来の安値1,306.6ドルを付けたのち、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安や貿易戦争に対する懸念を受けて急反発し、2月20日以来の高値1,350.4ドルを付けた。貿易戦争に対する懸念を受けてダウ平均株価が1,000ドル以上急落し、リスク回避の動きとなった。金ETF(上場投信)に逃避買いが入り、1月高値1,370.5ドルを突破できれば1,400ドルを目指す可能性が出てくる。

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2018年3月26日

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