金は米貿易摩擦に対する懸念が下支え

【金は米雇用統計も確認】

2月26日週のニューヨーク金市場は、4月限がドル高を受けて1月2日以来の安値1,303.14ドルを付けたが、米国の貿易摩擦に対する懸念を受けて下げ一服となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言でタカ派の見方が示されたことを受けて利上げ観測が高まった。同議長は、経済の過熱リスクと成長を軌道上に保つことのバランスをとると確約し、米FRBは段階的な利上げを実施する方針を堅持すると表明した。また株式市場で最近見られた調整局面や米国債利回りの上昇については、成長の妨げにはならないだろうとの見解を示した。今週は9日に2月の米雇用統計の発表があり、労働市場の動向と金融政策の見通しを確認したい。一方、トランプ米大統領は、鉄鋼輸入品に対して25%、アルミニウム製品には10%の関税を課す方針を示した。今週正式に発表する。欧州連合(EU)は実際に発動された場合、米国からの28億ユーロ相当の輸入品に25%の報復関税を適用する検討を始めた。米大統領は3日、欧州が報復措置を取るなら、EUからの輸入車への税で対抗する考えを示した。また中国の全国人民代表大会(全人代)の張業遂報道官は4日、中国は米国との貿易戦争は望んでいないが、自国の利益は守ると述べた。貿易摩擦に対する懸念からドル安が進むと、金の支援要因になるとみられる。金ETF(上場投信)が資金の逃避先(セーフ・ヘイブン)として買われるかどうかを確認したい。

金が一段安となるなか、アジア市場で実需筋の安値拾いの買いが一部で入った。たださらなる下落を期待して買いを見送る向きもあり、今月、実需筋の買い意欲が強まるかどうかが当面の焦点である。インドでは来月にアクシャヤ・トリティヤの祭りを控えており、需要が増加するとみられている。インドの金プレミアムは前週2ドルと前々週の2ドルのディスカウントから上昇した。一方、中国では旧正月明けで実需筋の買いが入り、前週は8~10ドルのプレミアムとなった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月27日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは17万8,718枚となり、前週の19万0,922枚から縮小した。今回は手じまい売りが5,224枚、新規売りが6,980枚出て、買い越しを1万2,204枚縮小した。一方、3月2日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.72トン増の833.98トンとなった。米財政赤字拡大や貿易摩擦に対する懸念を受けて投資資金が流入した。

東京金先限は円高も圧迫要因となり、2017年8月以来の安値4,463円を付けた。株価急落でリスク回避の円高となったことに加え、米貿易摩擦に対する懸念でドル安となったことを受けて円高が進んだ。黒田日銀総裁が2019年度ごろに出口を検討していること間違いないと述べたことも円高要因となった。米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告でシカゴ円は大口投機家の売り越しは9万6,651枚(前週10万8,338枚)となった。日米の金利差はドル買い要因だが、売られ過ぎからの修正で買い戻しが続くと、円高が進み、東京金の上値を抑えることになりそうだ。当面は1ドル=105円の節目前後で円高が止まるかどうかが焦点である。

【プラチナはドル高一服も株安で戻りが鈍い】

ニューヨーク・プラチナ4月限は、ドル高を受けて1月4日以来の安値956.5ドルを付けた。米大統領が鉄鋼製品やアルミ製品に関税を課す方針を示し他ことを受けてドル高が一服したが、株価が急落し、プラチナの上値を抑える要因になった。米自動車業界は関税賦課により、米国内の自動車販売減少がこの先も続く可能性があると警告した。2月の米新車販売台数は前年比2.4%減の年率1,708万台となった。パラジウムが1,000ドルの節目を割り込んでおり、安値拾いの買いが入るかどうかも焦点である。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月27日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは4万1,751枚となり、前週の4万1,753枚から小幅に縮小した。新規売りが新規買いを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、2日のロンドンで11.24トン(23日11.25トン)に減少、ニューヨークで17.92トン(同17.92トン)、1日の南アで25.11トン(同25.11トン)と横ばいとなった。

【NY原油は米原油在庫増加などで反落】

ニューヨーク原油は、サウジ・エネルギー相が協調減産の継続を示唆したことなどを受けて2月5日以来の高値64.24ドルを付けたが、ドル高や米原油在庫増加などを受けて反落した。米エネルギー情報局(EIA)が発表した2月23日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比301万9,000バレル増加した。事前予想は280万バレル増。また米原油生産量が日量1,028万3,000バレルと過去最高を更新したことも圧迫要因となった。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された3月2日までの週の米石油リグ稼動数は前週比1基増の800基となった。5週連続で稼働数が増加し、2015年4月以来の高水準となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月27日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは70万4,104枚となり、前週の68万9,366枚から拡大した。新規買いが新規売りを上回った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は2日時点で1億5,370万株となり、前週末比550万株減少した。

【3月5日からの週の注目ポイント】

5日 米ISM非製造業景況指数(2月) ☆☆☆
中国全国人民代表大会開幕 ☆☆
6日 豪中銀政策金利 ☆☆☆
米製造業新規受注(1月) ☆☆
ブレイナードFRB理事、講演
NY連銀総裁、講演 ☆☆
ダラス連銀総裁、講演
7日 豪GDP(第4四半期) ☆☆
米貿易収支(1月) ☆☆
米ADP雇用者数(2月) ☆☆
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
NY連銀総裁、講演 ☆☆
アトランタ連銀総裁、講演 ☆☆
8日 日本GDP改定値(第4四半期)
中国貿易収支(2月) ☆☆
ECB政策金利、ドラギECB総裁会見 ☆☆☆
米新規失業保険申請件数(3日までの週)
9日 日銀金融政策会合、黒田日銀総裁会見 ☆☆☆
中国消費者物価指数、生産者物価指数(2月) ☆☆
米雇用統計(2月) ☆☆☆
シカゴ連銀総裁、講演
ボストン連銀総裁、講演

*重要度を3段階で表示

sbi-h-c-20180305.jpg

ニューヨーク金はダブルトップのネックラインを割り込む
ニューヨーク金4月限はダブルトップを形成したのち、ネックラインとなる2月8日の安値1,309.0ドルを割り込み、2017年12月29日以来の安値1,303.6ドルを付けた。1,300ドルの節目を割り込むと、1,250ドルを目指す可能性が出てくる。ただ米大統領が鉄鋼製品やアルミ製品に関税を課す方針を示し、貿易摩擦に対する懸念が強まったことが下支え要因である。今週正式に発表する見通しであり、ドル安が進むと、金は1,300ドル台を維持するとみられる。

sbi-gold-20180305.jpg

2018年3月5日

提供:ALL先物比較