金は米利上げ見通しと米財政赤字拡大懸念で強弱材料が交錯

【金はETFに投資資金が流入】

2月19日週のニューヨーク金市場は、4月限がドル高を受けて軟調となり、14日以来の安値1,322.9ドルを付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で利上げ見通しが示され、米国債の利回りが上昇したことを受けてドル高に振れた。米10年債利回りは2.957%まで上昇し、2014年1月以来の高水準となった。米連邦準備理事会(FRB)は、パウエル米FRB議長の議会証言に先立ち、議会に半期に一度の金融政策報告を提出し、米経済の底堅さを踏まえ段階的な追加利上げが正当化されるとの認識を示した。米FRB議長の議会証言は27日に予定されており、金融政策の見通しを確認したい。一方、米予算教書で財政赤字の見通しが示されたことや、米大統領経済報告で貿易赤字に対する不満が示されたことはドル安要因である。同報告では、貿易赤字に強い不満が示され、「為替レートでの調整が一つの重要な機能になる」と指摘された。今後の通商問題の交渉の行方を確認したい。ドル高による金下落を受けて金ETF(上場投信)に投資資金が流入しており、ヘッジとして買われるようなら下支え要因になるとみられる。

アジア市場では、インド勢が高値での買いを見送り、前週は2ドルのディスカウントとなった。前々週は3ドルのディスカウント。一方、中国市場は21日まで旧正月で休場となった。安値拾いの買い意欲が強まるかどうかを確認したい。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月20日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万0,922枚となり、前週の17万5,606枚から拡大した。今回は新規買いが5,345枚、買い戻しが9,971枚入り、買い越しを1万5,316枚拡大した。一方、2月23日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.72トン増の829.26トンとなった。米財政赤字拡大に対する懸念などを受けて投資資金が流入した。

東京金先限は円高が圧迫要因となり、2017年12月19日以来の安値4,547円を付けた。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しで金利差はドル高要因だが、ドル売り圧力が強まるなか、円高に振れやすい。米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告でシカゴ円は大口投機家が大幅に売り越しており、買い戻しが進むと、予想以上の円高となる可能性もある。当面は1ドル=105円の節目が意識され、105円割れでドル安が止まるかどうかを確認したい。

【プラチナはドル高が圧迫もパラジウム堅調が下支え】

ニューヨーク・プラチナ4月限は、1月29日以来の高値1,016.5ドルを付けたのち、ドル高を受けて上げ一服となり、1,000ドルを割り込んだ。ただパラジウムが株高を受けて再び上値を試す可能性が出ており、一段高となるようなら、プラチナの支援要因になるとみられる。パラジウムは大幅な供給不足が見込まれるなか、リースレート(貸出金利)が高止まりし、供給がひっ迫している。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月20日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは4万1,753枚となり、前週の3万8,371枚から拡大した。新規買い・買い戻しが入った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、23日のロンドンで11.25トン(16日11.36トン)に減少、ニューヨークで17.92トン(同17.92トン)、南アで25.11トン(同25.11トン)と横ばいとなった。

【NY原油は予想外の米在庫減少やリビアの供給障害が支援】

ニューヨーク原油は、米国のシェールオイル増産見通しが圧迫要因となる場面も見られたが、米原油在庫が予想外に減少したことやリビアの油田稼働停止などを受けて押し目を買われ、7日以来の高値63.73ドルを付けた。米エネルギー情報局(EIA)が発表した2月16日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比161万6,000バレル減少した。事前予想の290万バレル増から予想外に減少した。輸出増加が主因となった。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された2月23日までの週の米石油リグ稼動数は前週比1基増の799基となった。4週連続で稼働数が増加し、2015年4月以来の高水準となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月20日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは68万9,366枚となり、前週の71万2,261枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は23日時点で1億5,920万株となり、前週末比横ばいとなった。

【2月26日からの週の注目ポイント】

26日 米新築住宅販売(1月)
セントルイス連銀総裁、講演 ☆☆
27日 米耐久財受注(1月) ☆☆
米消費者信頼感指数(2月) ☆☆
米ケースシラー住宅価格指数(12月)
パウエルFRB議長、下院金融委員会で半期に一度の証言(当初予定の28日から変更) ☆☆☆
イエレン前FRB議長、バーナンキ元FRB議長会談 ☆☆
28日 中国製造業PMI(2月) ☆☆
米GDP改定値(第4四半期) ☆☆
米中古住宅販売制約指数(1月)
1日 米自動車販売(2月)
米個人所得支出(1月) ☆☆☆
米ISM製造業景況指数(2月) ☆☆☆
米新規失業保険申請件数(24日までの週) ☆☆
パウエルFRB議長、上院銀行委員会で半期に一度の証言 ☆☆
2日 日本雇用統計(1月) ☆☆
4日 イタリア総選挙 ☆☆

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ニューヨーク金はダブルトップ形成
ニューヨーク金4月限はドル高を受けて反落した。1月25日の高値1,370.5ドルと2月16日の高値1,364.4ドルでダブルトップを形成しており、ネックラインとなる2月8日の安値1,309.0ドルを割り込むと、1,300ドルの節目を試す可能性が出てくる。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しを背景としたドル高が続くかどうかが焦点である。ただ米財政赤字拡大に対する懸念を受けて金ETF(上場投信)に投資資金が流入したことが下支え要因である。

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2018年2月26日

提供:ALL先物比較