金はドル安一服で調整局面か

【金は米議会でのつなぎ予算の協議も確認】

1月15日週のニューヨーク金市場は、2月限がドル安を受けて2017年9月11日以来の高値1,345.0ドルを付けたのち、上げ一服となった。タカ派の欧州中央銀行(ECB)議事要旨や年内に債券買い入れが停止されるとの見方を受けてユーロが一段高となったが、25日のECB理事会でガイダンス変更が見送られる見通しとなったことを受けてユーロ高が一服した。ガイダンス変更は最新の経済見通しが明らかになる3月となる可能性が高いとされた。また日銀が9日に超長期ゾーンの国債買い入れ額を計200億円減額し、緩和策の解除が意識されたが、減額はイールドカーブのゆがみの修正が目的とされた。22~23日の日銀金融政策決定会合では、現行の金融緩和策の継続が決定される見通しとなっており、政策に変更がなければ円売りが再開されるとみられる。一方、米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、米経済とインフレ率が2017年11月終盤から年末にかけ「控えめから緩やかな」ペースで拡大したとの見方が示された。米10年債利回りが上昇しており、ドル高に転じる可能性が出てきた。ただ米国のつなぎ予算が19日に失効し、政府機関が閉鎖に追い込まれた。米民主党が移民保護条項をつなぎ予算案へ盛り込むとの要求を堅持したのに対し、共和党側はつなぎ予算が可決されない限り移民問題を協議しないとの立場を崩さなかった。週末であり、影響は少ないが、米議会での協議の行方を確認したい。米上院共和党のマコネル院内総務は、民主党側の合意が得られなければ2月8日までのつなぎ予算案を22日午前1時(日本時間同日午後3時)に採決する方針を示した。金ETF(上場投信)に投資資金が流入しており、引き続き買われると下支え要因になるとみられる。

トランプ米政権は、核合意に基づく対イラン制裁の解除を継続すると発表した。ただ米大統領は核合意の修正を要請し、修正に至らなければ「直ちに離脱する」と警告した。米政府は制裁再開の是非を120日ごとに米議会に報告するよう義務づけられており、次の期限は5月となる。北朝鮮の核・ミサイル問題に関する20カ国の外相会合が15~17日、カナダのバンクーバーで開かれた。参加国からは「北朝鮮に核放棄を迫るために圧力を強化すべき」、「南北対話を巡る『ほほ笑み外交』に目を奪われてはならない」などの意見が出ており、圧力を継続する見通しとなった。地政学的リスクが残っていることも下支え要因である。

アジア市場で、中国の旧正月を控えて実需筋の買い意欲が強い一方、インドではディスカウントが拡大した。前週の中国の金プレミアムは8ドル前後となり、前々週の5~8ドルから強含んだ。2月16日から始まる旧正月の需要は堅調とみられている。一方、インドでは来月の予算で輸入関税が引き下げられるとの期待感が出ており、実需筋の買いが見送られた。最大5ドルのディスカウントと前々週の2ドルから拡大した。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月16日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは21万1,711枚となり、前週の20万3,288枚から拡大した。今回は新規買いが1万2,702枚、新規売りが4,279枚出るなか、買い越しを8,423枚拡大した。一方、1月19日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比17.71トン増の846.67トンとなった。米政府機関閉鎖に対する懸念を受けて投資資金が流入した。

【プラチナは1,000ドル台で上値を伸ばす】

ニューヨーク・プラチナ4月限は、ドル安が一服したが、パラジウムの底堅い値動きや株高などを受けて堅調となり、2017年9月8日以来の高値1,020.9ドルを付けた。米政府機関閉鎖の影響が懸念されるが、リスク選好の動きが続くと、プラチナは上値を伸ばす可能性がある。ただニューヨークの指定倉庫在庫が減少し、実需筋の買い戻し主導の上昇である。またパラジウム堅調がとこまで続くかも確認したい。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月16日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは3万4,698枚となり、前週の2万8,654枚から拡大した。新規買い・買い戻しが入った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、19日のロンドンで12.14トン(12日12.27トン)、ニューヨークで18.37トン(同18.97トン)に減少、南アで24.75トン(同24.75トン)と横ばいとなった。

【NY原油は大口投機家の買い越しの過去最高更新が続く】

ニューヨーク原油は、ドル安を受けて2014年12月以来の高値64.89ドルを付けたが、高値警戒感から上げ一服となった。米エネルギー情報局(EIA)が発表した1月12日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比686万1,000バレル減と9週連続で減少し、2015年2月以来の低水準となった。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された1月19日までの週の米石油リグ稼動数は前週比5基減の747基となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月16日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは70万7,787枚となり、前週の65万7,590枚から拡大し、2週連続で過去最高を更新した。新規買いが新規売りを上回った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は19日時点で1億6,150万株となり、前週末比120万株増加した。

【1月22日からの週の注目ポイント】

22日 ユーロ圏財務相会合
IMF世界経済見通し発表
23日 日銀金融政策決定会合結果
黒田日銀総裁、記者会見 ☆☆☆
独ZEW景況感指数(1月) ☆☆☆
シカゴ連銀総裁、あいさつ ☆☆☆
グッドフレンド氏、FRB理事指名承認公聴会 ☆☆☆
世界経済フォーラム年次総会(ダボス、26日まで) ☆☆☆
24日 日本貿易収支(12月) ☆☆☆
米中古住宅販売件数(12月) ☆☆☆
25日 独Ifo景況感指数(1月) ☆☆☆
ECB政策金利 ☆☆☆
ドラギECB総裁、記者会見 ☆☆☆
米新築住宅販売件数(12月) ☆☆☆
米新規失業保険申請件数(20日までの週) ☆☆☆
26日 日銀議事録(12月20日、21日分) ☆☆☆
日本消費者物価指数(12月) ☆☆☆
米耐久財受注(12月) ☆☆☆
米GDP速報値(第4四半期) ☆☆☆

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ニューヨーク金は調整局面を警戒
ニューヨーク金2月限はドル安を受けて2017年9月11日以来の高値1,345.0ドルを付けたのち、ユーロ高一服を受けて上げ一服となった。次回の欧州中央銀行(ECB)理事会でガイダンス変更が見送られる見通しとなった。RSI上昇が一服し、調整局面が警戒される動きだが、米つなぎ予算が19日に失効し、金ETF(上場投信)に投資資金が流入した。米議会での協議の行方と投資資金の動向を確認したい。

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2018年1月22日

提供:ALL先物比較