金はドル安進行で上値を試す

【金は日欧の金融政策の行方も確認】

1月8日週のニューヨーク金市場は、2月限がドル安を受けて堅調となり、2017年9月15日以来の高値1,340.0ドルを付けた。12月の米雇用統計発表後にドル安が一服する場面も見られたが、日本や中国、欧州から材料が出てドル安が進行した。日本銀行が9日、超長期国債の買い入れ額を減額したことを受けて市場で緩和策の解除が意識され、円高に振れた。また中国の外貨準備を見直す当局者らが米国債の購入を減らすか停止することを勧告したと伝えられたこともドル安要因となった。ただ中国の国家外為管理局(SAFE)は「間違った情報源」を引用した可能性があるとの声明を発表しており、今後の動向を確認したい。欧州中央銀行(ECB)議事要旨では「金融政策姿勢や、政策方針(フォワードガイダンス)のさまざまな次元に関わる文言について、来る年(2018年)の初めに再検討を加える可能性がある」と指摘され、政策メッセージの微調整が行われる可能性が出た。またドイツの政権発足に向けた連立協議が進展し暫定合意に至ったことを受けてユーロが一段高となった。米国以外の材料が市場で注目され、ドル安が進むことになった。当面は22~23日に日銀金融政策決定会合、25日にECB理事会があり、金融政策の正常化に向けた動きが出るかどうかが焦点になるとみられる。一方、12月の米消費者物価指数(CPI)はコア指数が前月比0.3%上昇した。11カ月ぶりの大幅な伸びとなり、インフレが18年に加速するとの見方を支える内容となった。米10年債利回りは前週、2.595%まで上昇し、2014年以来の高水準となった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が強まり、米10年債利回りが上昇すると、ドル安が一服する可能性が出てくる。

韓国と北朝鮮は9日に南北当局間会談を開き、北朝鮮は来月の平昌冬季五輪に政府高官・選手団・応援団を派遣すると表明した。ただ核兵器を巡っては「核兵器は米国のみ対象」とし、韓国との対話を拒否した。米国はこれまで北朝鮮が非核化に合意しなければ対話しないとしていたが、トランプ米大統領は対話に前向きな姿勢を示し、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、金正恩朝鮮労働党委員長と「おそらく非常に良い関係を築ける」と述べた。また米国と北朝鮮の危機が戦争なしに解決されるとの見通しを示した。米韓が平昌冬季五輪まで合同軍事演習をしないことで合意しており、当面は対話の行方が焦点である。15~17日にはカナダのバンクーバーで北朝鮮核問題に関する外相会合が開催される。話し合いの内容を確認したい。

アジア市場で中国やインドの実需筋は高値での買いを見送っている。前週の中国の金プレミアムは5~8ドルとなり、前々週の6~7ドルから拡大、インドでは最大2ドルのディスカウントとなり、同変わらずから下落した。ただ中国は2月中旬からの旧正月、インドでは2月の宝飾業者のイベントを控えて安値を買いたい向きが多い。利食い売り主導で調整局面を迎え、1,300ドルに接近すると、実需筋の買い意欲が強まるとみられる。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月9日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは20万3,288枚となり、前週の16万3,268枚から拡大した。今回は新規買いが4万7,733枚、新規売りが7,713枚出るなか、買い越しを4万0,020枚拡大した。一方、1月12日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比7.08トン減の828.96トンとなった。戻り場面で投資資金が流出した。

【プラチナは実需筋の踏み上げで1,000ドル前後に上昇】

ニューヨーク・プラチナ4月限は、ドル安や金上昇などを受けて堅調となり、2017年9月11日以来の高値1,004.2ドルを付けた。ニューヨークの指定倉庫在庫が減少しており、実需筋の踏み上げによる上昇となっている。またパラジウムの史上最高値更新も支援要因である。ただ1,000ドル達成で利食い売りが出ると、調整局面が警戒される。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月9日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万8,654枚となり、前週の1万7,415枚から拡大した。新規買い・買い戻しが入った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、12日のロンドンで12.27トン(5日12.41トン)に減少、11日のニューヨークで18.97トン(同18.97トン)と横ばい、南アで24.51トン(同24.36トン)に増加した。

【NY原油は大口投機家の買い越しが過去最高に】

ニューヨーク原油は、米原油在庫減少やドル安を受けて堅調となり、2014年12月以来の高値64.77ドルを付けた。米エネルギー情報局(EIA)が発表した1月5日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比494万8,000バレル減と8週連続で減少し、2015年8月以来の低水準となった。冬場の需要期に入り、石油製品の在庫は増加した。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された1月12日までの週の米石油リグ稼動数は前週比10基増の752基となった。価格上昇でリグ稼働数が増加すると、上値を抑える要因になる。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月9日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは65万7,590枚となり、前週の62万4,213枚から拡大し、過去最高を更新した。新規買いが新規売りを上回った。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は12日時点で1億6,030万株となり、前週末比460万株増加した。

【1月15日からの週の注目ポイント】

15日 黒田日銀総裁、あいさつ
日銀地域経済報告(1月)
キング牧師生誕記念日祝日で米株式・債券市場は休場
16日 英消費者物価指数(12月) ☆☆☆
米NY連銀製造業景況指数(1月)
17日 カナダ中銀政策金利 ☆☆☆
米鉱工業生産(12月) ☆☆
米地区連銀経済報告(ベージュブック) ☆☆
シカゴ連銀総裁、講演
クリーブランド連銀総裁、講演
18日 豪雇用統計(12月) ☆☆
中国GDP(第4四半期) ☆☆
中国小売売上高(12月) ☆☆
米住宅着工件数(12月) ☆☆
米新規失業保険申請件数(13日までの週)
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(1月) ☆☆
19日 米暫定予算期限切れ ☆☆

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ニューヨーク金はドル安で一段高
ニューヨーク金2月限はドル安を受けて堅調となり、2017年9月15日以来の高値1,340.0ドルを付けた。日銀のオペ減額や中国の米国債投資縮小報道、欧州中央銀行(ECB)の政策メッセージの微調整の可能性を受けてドル安が進んだ。ただRSIが買われ過ぎの水準に入るなか、金ETF(上場投信)から投資資金が流出した。ダウ平均株価が史上最高値を更新しており、どのタイミングでドル売りが一巡するかが当面の焦点である。

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2018年1月15日