金はドル安で買い戻し主導の上昇

【金はドル高再開のタイミングを確認】

12月18日週のニューヨーク金市場は、2月限が12月4日以来の高値1,280.4ドルを付けた。米税制改革法案が成立したが、為替市場で織り込み済とみられ、ドルの手じまい売りが出たことが支援要因となった。ニューヨーク金でこれまでファンド筋の売り玉が増加しており、クリスマスや年末を控えて買い戻し主導で上昇する格好となった。一方、1月19日までの新たなつなぎ予算案が成立し、米10年債利回りが上昇しており、来年の米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しに変わりがなければいずれかのタイミングでドル買いが再開するとみられる。ただサンフランシスコ地区連銀が、米税制改革に伴い来年は景気が若干押し上げられるものの、効果はほとんど持続しないとの分析結果を公表した。また市場では財政赤字の拡大に対する懸念も出ており、今後発表される米経済指標でインフレや景気の動向を確認したい。

スペイン北東部カタルーニャ自治州で実施された州議会選挙で、独立賛成派が過半数を獲得した。今後、連立協議が始まるが、スペイン中央政府は10月に憲法155条を発動して自治権を剥奪しており、州議会にどう対応するかを確認したい。ラホイ首相は記者会見で、カタルーニャ自治州政府との対話に向け努力していくとの姿勢を表明しており、混乱がなければ金融市場への影響は限られるとみられる。一方、トランプ米大統領は、就任後初めてとなる国家安全保障戦略を発表した。戦略では、中国とロシアを米国の競争相手と位置付け、米国に挑戦し、安全や繁栄を脅かそうとしていると警戒を示した。また北朝鮮については、挑発に対応する以外に「選択肢はない」と強い姿勢を示した。北朝鮮の外務省は24日、国連安全保障理事会が採択した追加制裁について、戦争行為であり、完全な経済封鎖に等しいとした上で、追加制裁を支持した国に報復すると警告した。国連安保理は22日、北朝鮮が11月に新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したことを受け、同国に対する追加制裁決議案を全会一致で採択した。マティス米国防長官は演説で「まだ平和的な方法で解決する時間がある」と強調しながらも、「米軍は韓半島で起きる戦争に備え、決心を固めなければならない」と呼び掛けた。そして「楽観的に考える理由はない」と述べた。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月19日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは11万3,795枚となり、前週の10万7,068枚から拡大した。今回は手じまい売りが4,439枚、買い戻しが1万1,166枚入るなか、買い越しを6,727枚拡大した。一方、12月22日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.79トン減の837.50トンとなった。米税制改革法案の成立見通しを受けて836.02トンまで減少したが、22日に小幅に増加した。

【プラチナは900ドル台を回復】

ニューヨーク・プラチナ1月限は、ドル安を受けて900ドル台を回復すると、買い戻しが進んで12月5日以来の高値925.0ドルを付けた。米税制改革法案やつなぎ予算案の成立、米株価の堅調も支援要因である。一方、南アフリカの与党、アフリカ民族会議(ANC)の新党首にラマポーザ副大統領が選出され、先行き期待感から南ア・ランドが上昇した。ランド高が続くと、プラチナの支援要因になるとみられるが、市場では南ア経済の問題解決は困難との見方からランド高は行き過ぎとの警戒感も出ており、ランドの動向を確認したい。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月19日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万2,840枚となり、前週の1万2,824枚から小幅に拡大した。買い戻しが手じまい売りを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、22日のロンドンで12.44トン(15日12.31トン)、ニューヨークで18.98トン(同18.83トン)に増加、21日の南アで24.39トン(同24.12トン)に増加した。

【NY原油はレンジ内で堅】

ニューヨーク原油は、米国の在庫減少や需給均衡化期待などを受けて堅調となり、12日以来の高値58.50ドルを付けた。米エネルギー情報局(EIA)が発表した12月15日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比649万5,000バレル減少し、5週連続で減少し、2015年10月以来の低水準となった。米原油生産量は日量978万9,000バレルと最高水準を更新した。米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された12月22日までの週の米石油リグ稼働数は前週比変わらずの747基となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月19日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは60万1,839枚買い越しとなり、前週の61万4,497枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は12月22日時点で1億7,800万株となり、前週末比310万株減少した。クリスマスや年末を控えて手じまい売りが出た。

【12月25日からの週の注目ポイント】

25日 米国、英国、独、仏、豪州、NZ、香港、カナダなどが祝日 ☆☆
26日 日本雇用統計(11月) ☆☆
日本消費者物価指数(11月) ☆☆☆
黒田日銀総裁、講演 ☆☆
日銀議事録(10月30日、31日分)
米S&Pケースシラー住宅価格指数(10月)
英国、独、仏、豪州、NZ、香港、カナダなどが祝日 ☆☆
27日 米消費者信頼感指数(12月) ☆☆
米中古住宅販売制約指数(11月)
28日 日銀主な意見(12月20日、21日分)
ECB月報
米新規失業保険申請件数(23日までの週)
29日 東京証券取引所、東京商品取引所、大納会 ☆☆
31日 中国製造業PMI(12月)

*重要度を3段階で表示

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ニューヨーク金はドル安が支援も1,300ドルが抵抗線
ニューヨーク金2月限はドル安を受けて堅調となり、12月4日以来の高値1,280.4ドルを付けた。今回の戻り高値は11月27日高値から12月12日安値に対するフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しの水準となった。ここを突破すると、次は1,300ドルの節目が主要な抵抗線となる。ただ今回の上昇は12月のレンジ下放れでファンド筋の売り玉が増加したことによる買い戻し主導の上昇であり、上値を伸ばすには新規買いが必要となる。来年は米連邦準備理事会(FRB)の3度の利上げが予想されており、ドル高が再開すると、金の戻りが売られる可能性が出てくる。

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2017年12月25日

提供:ALL先物比較