金は米上院での税制改革案の審議の行方を確認

【金は米年末商戦開始で景気見通しも焦点】

11月20日の週のニューヨーク金市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録でインフレに対する見方が分かれたことが支援要因となったが、1,300ドルを突破できず、上げ一服となった。米FOMC議事録では12月利上げが示唆されたが、インフレ低迷の中で今後の政策については意見の相違が見られた。来年の米連邦準備理事会(FRB)の利上げの行方が不透明であり、今後発表される米経済指標が待たれる。一方、米税制改革法案について、リサ・マカウスキ議員が個人の医療保険加入義務廃止を容認する意向を明らかにし、可決に近づいたとみられている。米上院は今週、この法案を審議する見通しであり、税制改革の行方を確認したい。年内の可決は困難との見方が出ているが、協議が進むと、金の圧迫要因になる可能性が出てくる。また米感謝祭とブラックフライデーの米ネット販売が過去最高になったと伝えられた。景気堅調の見方などを受けて米株価の上昇が続くと、金の上値が抑えられる可能性が出てくる。

欧州連合(EU)のトゥスク大統領とメイ英首相が24日、英国のEU離脱交渉を巡りブリュッセルで会談した。EU側は10日以内に英国が交渉進展に向けた提案をしなければ、来月のEU首脳会議で通商協議開始に向け加盟国を説得できないと強調した。アイルランドが政権崩壊の危機に陥っており、北アイルランドとの国境問題も離脱交渉の鍵になりつつある。EUは12月14~15日のEU首脳会議で、英国のEU離脱について、移行期間や新たな貿易協定に関する将来の協議開始の是非を決める。英政府はEU離脱交渉で、英国がEUに支払う分担金について、EU側が協議に前進させることを確約するのを条件に、大幅に引き上げて具体的な額を提示する方針を固めた。難航する離脱交渉打開のための妥協とみられ、12月4日に公式提案するとの見方もある。12月のEU首脳会議がまとまれば来年3月までに通商協議の合意に達する可能性が出てくるが、まとまらなければリスク回避の動きが進み、ポンド急落や世界的な株安を招くとみられている。一方、ドイツでは連立交渉が決裂した。メルケル独首相は、少数与党よりも総選挙を再び実施する方が良いとの考えを示したが、第2党のドイツ社会民主党(SPD)と連立協議を行う見通しになると、早期に政権を樹立することが望ましいと述べた。また独経済は堅調であり、市場への影響は限定的とみられている。

北朝鮮では、軍幹部2人が「不純な態度」を理由に処罰された可能性があることや、兵士が軍事境界線を越えて韓国へ脱北したことが伝えられたが、ミサイル発射などの挑発はなく、引き続き沈黙を続けている。中国の習近平国家主席が北朝鮮に派遣した特使は、平壌で同国ナンバー2の崔竜海朝鮮労働党副委員長と会談したが、金正恩委員長との会談はなく、冷遇されたとみられている。北朝鮮は米東海岸に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発するまで米国との外交交渉に応じる意思はないとの方針を継続することになりそうだ。米国が20日に北朝鮮をテロ支援国家に再指定すると、北朝鮮外務省報道官は「我が国に対する重大な挑発だ」と非難した。一方、米軍の核戦略トップのジョン・ハイテン米戦略軍司令官は、大統領が核攻撃を命令しても、「違法」な命令ならば拒否すると発言した。米上院外交委員会で、大統領の核攻撃命令権限について専門家を招いて議論した。複数の議員が、トランプ米大統領が野放図に核攻撃を命令する危険性を憂慮しているという。米国で核攻撃について議論されている状況では、北朝鮮はうかつに挑発できないとみられる。

金の独自材料では、アジア市場で実需筋が高値での買いを見送っているが、中国の需要期を控えて期待感も出ている。中国の金プレミアムは5~9ドルと前の週の7~10ドルから小幅に下落した。同国では通常、旧正月を控えて実需筋が12月から在庫手当てを開始する。一方、インドでは引き続き実需筋が高値での買いを見送り、安値を待っている。同国では最大2ドルのディスカウントとなった。また米連邦準備理事会(FRB)の12月利上げが見込まれており、12月12~13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を待っていることも指摘された。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月14日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万5,084枚となった。21日時点の数字は感謝祭の影響で1営業日遅れ、27日に発表される。一方、11月24日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比変わらずの843.39トンとなった。米感謝祭で取引参加者が少なかったことや、米税制改革の協議待ちで模様眺めの動きとなった。

【プラチナの安値は買い拾われる】

ニューヨーク・プラチナ1月限は、ドル高を受けて急落し、6日以来の安値921.8ドルを付ける場面も見られたが、安値拾いの買いが入ったことや米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録などを受けて下げ一服となった。ジンバブエでの事実上のクーデターを受け、ムガベ大統領が辞任し、ムナンガグワ前第1副大統領が24日に次期大統領に就任した。大統領は演説で疲弊した経済の活性化やまん延する汚職の根絶など、ジンバブエを貧困から脱却させる改革を実施すると誓った。一方、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告によると、2018年のプラチナは8.6トンの供給不足となり、今年の0.5トンから不足幅を拡大する見通しとなった。プラチナETF(上場投信)に投資資金が流入するかどうかを確認したい。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月14日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万5,476枚となった。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、24日のロンドンで12.38トン(17日12.36トン)、ニューヨークで18.54トン(同18.39トン)に増加、23日の南アで24.49トン(同24.68トン)に減少した。

【NY原油はOPEC総会などを確認】

ニューヨーク原油は、石油輸出国機構(OPEC)の協調減産に対する期待感やドル安、キーストーンXLパイプラインの原油漏洩事故を受けて堅調となり、2015年6月以来の高値59.05ドルを付けた。トランスカナダは漏洩した原油を回収し、住宅用水の検査を実施し、問題がないことを明らかしており、当面は30日のOPEC総会が焦点になりそうだ。米エネルギー情報局(EIA)が発表した11月17日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比185万5,000バレル減少した。米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された11月24日までの週の米石油リグ稼動数は前週比9基増の747基となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月14日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは59万6,466枚買い越しとなった。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は11月24日時点で1億9,700万株となり、前週末比10万株増加した。買い意欲も強いが、高値で利食い売りが出た。

【11月27日からの週の注目ポイント】

27日 米新築住宅販売件数(10月) ☆☆
NY連銀総裁、講演日本貿易統計(10月) ☆☆
28日 米S&Pケースシラー住宅価格(9月)
フィラデルフィア連銀総裁、講演 ☆☆
パウエル次期FRB議長、指名承認公聴会 ☆☆☆
29日 米GDP改定値(第3四半期) ☆☆
米中古住宅販売成約指数(10月) ☆☆
米地区連銀経済報告(ベージュブック) ☆☆
NY連銀総裁、講演 ☆☆
サンフランシスコ連銀総裁、講演 ☆☆
イエレンFRB議長、上下両院合同経済委員会で証言 ☆☆
30日 中国製造業PMI(11月) ☆☆
米個人所得支出(10月)
米新規失業保険申請件数(25日までの週)
ダラス連銀総裁、講演 ☆☆
OPEC総会 ☆☆☆
1日 日本雇用統計(10月)
日本消費者物価指数(10月)
米自動車販売台数(11月)
米ISM製造業景況指数(11月) ☆☆
ダラス連銀総裁、講演 ☆☆
セントルイス連銀総裁、講演 ☆☆
フィラデルフィア連銀総裁、講演 ☆☆

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ニューヨーク金はレンジ相場を継続
ニューヨーク金12月限は米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録でインフレに対する見方が分かれ、ドル安に振れたことが支援要因となったが、1,300ドルを突破できず、上げ一服となった。1,268.2~1,308.4ドルのレンジ相場となっており、当面はどちらに放れるかがテクニカル面での焦点である。今週は米上院での税制改革法案の審議の行方も確認したい。

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2017年11月27日

提供:ALL先物比較