金は米税制改革の遅れなどが支援

【金はリスク回避で逃避買いが入るかどうかを確認】

11月13日の週のニューヨーク金市場は、ドル安一服に上値を抑えられる場面も見られたが、リスク回避の動きが出たことを受けて上昇し、10月17日以来の高値1,297.5ドルを付けた。モラー特別検察官がトランプ陣営のメンバーに召喚状と伝えられたことに加え、米税制改革の年内成立は困難との見方が強まったことを受けてリスク回避の動きが広がった。米下院で税制改革法案が可決されたが、米上院は独自案を検討しており、感謝祭後まで動きはないとみられている。米上院共和党の修正案には医療保険制度改革(オバマケア)向けの補助金廃止が盛り込まれており、民主党の攻撃材料になるとみられている。今後は上下両院で法案のすりあわせる必要もあり、協議は難航する可能性が高く、年内成立は微妙な状況となっている。リスク回避の動きが続くと、金ETF(上場投信)に投資資金が流入し、金価格を押し上げる可能性が出てくる。ただ12月13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが見込まれており、高値での買いを見送る投資家が多いとみられる。

トランプ米大統領は15日、アジア歴訪について、ホワイトハウスで声明を発表した。大統領は「開かれた招待」と「経済的侵略や不正を働く国への警告」というスタンスを示し、他国との「公正で互恵的な貿易」を要求したと説明した。アジアで出席した一連の首脳会議に参加した国々は、核開発プログラム放棄を迫るため北朝鮮に経済的圧力をかける米国の取り組みを支持していると述べた。一方、中国の習近平国家主席は17日に北朝鮮に特使を派遣した。特使として北朝鮮を訪問した宋涛中央対外連絡部長が北朝鮮の外交トップである李洙ヨン労働党副委員長と会ったことが伝えられた。北朝鮮と中国の党対党の会談が開かれた点から、近く金正恩朝鮮労働党委員長と宋部長との面会もなされるという観測が出ており、北朝鮮情勢も確認したい。

メイ英首相は、「『英国は2019年3月29日午後11時に欧州連合(EU)を離脱する』ことを法律に明記する」と表明した。ただ離脱に向けたEUとの交渉は難航しており、財界幹部らは交渉を加速する必要があるとの見解を示した。交渉進展に向けて「離脱費用の交渉」「英国に在住するEU市民の権利」「アイルランドとの国境における取り扱い」の3分野でより明確な情報を示す必要があると指摘した。EU離脱に伴い英国が支払う清算金を巡り、同首相が最大200億ポンドの引き上げを提示する用意を進めていると伝えられたが、英首相報道官は報道は憶測とした。国際通貨基金(IMF)は、欧州に関する最新の地域経済見通しを発表し、欧州の経済成長は本調子になってきているが、英国のEU離脱が混乱を招けば、英国、ユーロ圏ともに成長率は「かなり」押し下げられる可能性があるとの見方を示しており、交渉の行方を確認したい。

金の独自材料では、インドの金プレミアムは6週間ぶりにディスカウントに転じた。ウェディング・シーズンが始まったが、販売不振から宝飾業者は在庫補充を見送っている。一方、中国の金プレミアムは7~10ドルと前週の5~7ドルから上昇した。需要は堅調だが、高値での買いが続くかどうかを確認したい。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月14日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万5,084枚となり、前週の19万5,790枚から縮小した。今回は手じまい売りが1,075枚、買い戻しが369枚入り、買い越しを706枚縮小した。一方、11月17日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.29トン増の843.39トンとなった。米税制改革に対する不透明感から小口の買いが入った。

【プラチナはジンバブエ情勢の行方も焦点】

ニューヨーク・プラチナ1月限は、ドル安などを受けて9月20日以来の高値957.5ドルを付けた。米税制改革に対する不透明感を受けてドル安に振れた。ただリスク回避の動きが出ており、高値での買いが続くかどうかを確認したい。一方、ジンバブエでムガベ大統領の後継者問題をめぐる権力闘争が激しくなるなか、軍による事実上のクーデターが起きた。政情不安が供給不安につながるようならプラチナの支援要因になるが、解任されたムナンガグワ第1副大統領が次期大統領に就任するようなら、ムガベ時代に悪化した投資家や国際社会との関係が修復されるとの期待感もあり、同国の行方を確認したい。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月14日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万5,476枚買い越しとなり、前週の2万2,204枚枚買い越しから拡大した。新規買い・買い戻しが入った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11月16日のロンドンで12.39トン(10日12.39トン)と横ばい、17日のニューヨークで18.39トン(同18.54トン)、16日の南アで24.68トン(同24.80トン)に減少した。

【NY原油は大口投機家の買い越しが過去最高に】

ニューヨーク原油は、国際エネルギー機関(IEA)の需要見通し下方修正や米原油在庫増加を受けて調整局面を迎えたが、石油輸出国機構(OPEC)の協調減産に対する期待感から下げ一服となった。サウジアラビアのアルファリ・エネルギー相が需給均衡のためには、さらなる減産が必要と述べており、今月末のOPEC総会で協調減産延長で合意できるかどうかが当面の焦点である。米エネルギー情報局(EIA)が発表した11月10日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比185万4,000バレル増加、米原油生産量が日量964万5,000バレルと過去最高を更新した。米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された11月17日までの週の米石油リグ稼動数は前週比変わらずの738基となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月14日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは59万6,466枚買い越しとなり、前週の54万5,206枚買い越しから拡大し、過去最高を更新した。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は11月17日時点で1億9,690万株となり、前週末比1,370万株増加した。押し目買いが入った。

【11月20日からの週の注目ポイント】

20日 日本貿易統計(10月) ☆☆
米景気先行指数(10月) ☆☆
ドラギECB総裁、欧州議会公聴会出席 ☆☆
21日 米中古住宅販売件数(10月) ☆☆
イエレンFRB議長、講演 ☆☆
22日 米耐久財受注(10月) ☆☆
米新規失業保険申請件数(18日までの週)
英秋季財政報告
米FOMC議事録(10月31日、1日分) ☆☆
23日 ECB議事録
ドイツ財務省月報
24日 ドイツIfo景況感指数(11月)

*重要度を3段階で表示

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ニューヨーク金は戻り高値を試す動き
ニューヨーク金12月限は米税制改革の年内成立が困難との見方が出るなか、リスク回避の動きを受けて10月17日以来の高値1,297.5ドルを付けた。リスク回避の動きが続き、金ETF(上場投信)に投資資金が流入するようなら、1,300ドルの節目や10月16日の戻り高値1,308.4ドルを試す可能性が出てくる。

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2017年11月20日

提供:ALL先物比較