金は米税制改革案の行方などが焦点

【金はETFから投資資金流出が続くと圧迫要因】

11月6日の週のニューヨーク金市場は、ドル高一服を受けて堅調となったが、欧米の国債利回りの上昇を受けて上げ一服となった。米上院共和党の税制改革案に法人税減税の1年先送りが盛り込まれ、ドル安に振れた。ただ米下院歳入委員会が法人税減税の実施時期を2018年とした修正案を可決しており、今後の協議の行方が焦点である。一方、トランプ米大統領のアジア歴訪では、米中首脳会談で、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議を順守し、北朝鮮が核開発を放棄するまで経済的圧力をかける必要性で一致した。米軍の空母3隻が西太平洋で10年ぶりとなる合同軍事演習を11~14日に実施し、北朝鮮の軍事的挑発はなかったが、米大統領がベトナム訪問中にツイッターで「金正恩氏はなぜ私を『年寄り』と侮辱するのだろうか。私は彼を『チビでデブ』と決して呼ばないのに」とつぶやいており、アジア歴訪後の北朝鮮の動きを確認したい。また今週は10月の米消費者物価指数や米小売売上高などの発表があり、金融政策の見通しも焦点である。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が高まるようなら、ドル高に振れ、金の圧迫要因になるとみられる。

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の「ゴールド・ディマンド・トレンズ」によると、2017年第3四半期の金需要は前年同期比9%減の915トンとなった。宝飾需要がインドで減少し、16トン減少したことや、金ETF(上場投信)への投資資金流入が限られたことが指摘された。金ETF残高は逃避買いを受けて19トン増加したが、投資家の関心は株高に集まり、金買いは限られた。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しでドル高が見込まれていることも金買いを見送る要因である。

インドでウェディング・シーズンが始まったが、実需筋が様子見に回り、金需要は伸び悩んだ。ルピー建て金価格は3週間ぶりの高値を付け、同国の金プレミアムは最大2ドルと前週の3ドルから小幅に下落した。宝飾業者は在庫を補充する必要があるが、価格が下落するのを待っている。一方、上海金のプレミアムは5~7ドルと前週の5~9ドルから横ばいとなった。インド同様、安値を待つ向きが多い。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月31日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万3,095枚となった。11月7日時点の数字はベテランズ・デーの影響で1営業日遅れ、13日に発表される。一方、11月10日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.66トン減の843.09トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しなどを受けて投資資金が流出した。

【プラチナは金やパラジウムの上げ一服が圧迫要因】

ニューヨーク・プラチナ1月限は、ドル高一服を受けて10月16日以来の高値944.0ドルを付けたが、金やパラジウムの上げ一服を受けて戻りを売られた。金は国債利回りの上昇が上値を抑える要因になった。一方、パラジウムは現物相場が2001年2月以来の高値1,026.55ドルを付けたが、株高一服を受けて上げ一服となった。米税制改革案で法人税減税に対する不透明感が株安要因であり、リスク回避の動きが強まると、プラチナの売り圧力につながる可能性も出てくる。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月31日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万9,612枚買い越しとなった。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11月10日のロンドンで12.39トン(3日12.41トン)に減少、ニューヨークで18.54トン(同18.54トン)、9日の南アで24.80トン(同24.80トン)と横ばいとなった。

【NY原油は米石油リグ稼働数の増加などが上値を抑える要因】

ニューヨーク原油は、サウジアラビアの汚職取り締まりによる政情不安などを受けて堅調となり、2015年7月以来の高値57.92ドルを付けた。またリヤドの国際空港に対するイランのミサイル攻撃で地政学的リスクが意識されたことも支援要因になった。ただ米石油リグ稼動数の増加による生産増加に対する懸念が出ており、在庫の行方などを確認したい。米エネルギー情報局(EIA)が発表した11月3日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比223万7,000バレル増加、米原油生産量が日量962万バレルと過去最高を更新した。米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された11月10日までの週の米石油リグ稼動数は前週比9基増の738基となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月31日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは50万2,949枚買い越しとなった。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は11月10日時点で1億8,320万株となり、前週末比2,240万株減少した。高値で利食い売りが出た。

【11月13日からの週の注目ポイント】

13日 黒田日銀総裁、講演 ☆☆
OPEC月報 ☆☆
14日 中国小売売上高(10月) ☆☆
独ZEW景況感指数(11月) ☆☆
米生産者物価指数(10月) ☆☆
アトランタ連銀総裁、講演 ☆☆
セントルイス連銀総裁、講演 ☆☆
日銀総裁、FRB議長、ECB総裁、英中銀総裁、シカゴ連銀総裁 パネル討論会 ☆☆☆
15日 日本GDP速報値(第3四半期) ☆☆
米小売売上高(10月) ☆☆☆
米消費者物価指数(10月) ☆☆☆
シカゴ連銀総裁、パネル討論会出席
16日 豪雇用統計(10月) ☆☆
米鉱工業生産(10月) ☆☆
ブレイナードFRB理事、講演 ☆☆
ダラス連銀総裁、講演 ☆☆
クリーブランド連銀総裁、講演 ☆☆
サンフランシスコ連銀総裁、講演 ☆☆
17日 米住宅着工件数(10月) ☆☆
ドラギECB総裁、講演 ☆☆
サンフランシスコ連銀総裁、会見 ☆☆

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ニューヨーク金はレンジ形成
ニューヨーク金12月限はドル高一服が支援要因となる場面も見られたが、欧米の国債利回りの上昇を受けて上げ一服となった。米税制改革案で法人税減税が先送りされる可能性が出ており、米議会での協議の行方が当面の焦点である。テクニカル面では1,263.8~1,289.5ドルのレンジを形成しており、どちらに放れるかを確認したい。

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2017年11月13日

提供:ALL先物比較