金は米FRBの利上げ観測などが圧迫

【金は米大統領のアジア歴訪も確認】

10月30日の週のニューヨーク金市場は、ドル安が下支えとなる場面も見られたが、米連邦準備理事会(FRB)人事や米税制改革案の詳細が発表されると、戻りを売られた。米FRB次期議長はパウエルFRB理事が指名された。候補者のなかではハト派だが、緩やかな利上げ見通しに変わりはなく、ドルの押し目が買われた。一方、米税制改革案の詳細では、法人税率の20%への引き下げや所得税の簡素化などが盛り込まれた。10月の米雇用統計が予想以下となったが、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で経済成長は「堅調」との見解が示され、米FRBの利上げ観測に変わりはなかった。またJPモルガン・チェースが労働市場の引き締まりを受けて米FRBの来年の利上げ回数を4回とこれまでの3回から上方修正したこともドル高要因である。金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、ドル高が続くと、圧迫要因になるとみられる。

スペイン情勢に関しては、中央政府が10月27日、独立を宣言したカタルーニャ州の自治をはく奪した。ラホイ首相はカタルーニャ州政府の全閣僚を解任し、議会を解散した。また12月21日にカタルーニャ州議会選挙を実施する方針を示した。スペインの高等裁判所は、解任されたカタルーニャ自治州のプチデモン首相のほか、政権幹部13人に対し、証言のため11月2日に出廷するよう求めた。プチデモン氏は出頭命令に応じず、ベルギーから証言する意向としたが、前幹部5人とともに5日、ベルギー警察に出頭した。ただ同日、ベルギーの裁判所の判断により釈放された。落ち着いた状況となっており、混乱がなければ材料にはなりにくそうだ。

今週はトランプ米大統領のアジア歴訪が焦点である。米大統領は5日、米軍横田基地で、北朝鮮を念頭に「どんな独裁者も米国の決意を軽視してはならない」と述べるとともに、安全のために必要があれば、戦うことがあると述べた。日本や韓国、中国の訪問では北朝鮮問題が重要なテーマであり、米大統領の発言と北朝鮮の反応を確認したい。また米大統領は10日、ベトナム中部ダナンで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席したのち、13日にフィリピンのマニラを訪れ、米・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議や、ドゥテルテ比大統領との初会談に臨む予定となっている。

金の独自材料では、インドの需要期が過ぎ、買い付けが一服していたが、今後数週間でウェディング・シーズンが始まることから、需要回復に対する期待感が出ている。前週の金プレミアムは3ドルと横ばいだった。中国の金市場も平穏で前週のプレミアムは5~9ドルで推移した。ただ1,270ドルを割り込むと、安値拾いの買いが入るとみられており、今後、一段安となった場合、実需筋の動向が焦点になりそうだ。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月31日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万3,095枚となり、前週の19万1,385枚から拡大した。今回は手じまい売りが6,811枚、買い戻しが8,521枚入り、買い越しが1,710枚拡大した。一方、11月3日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比5.02トン減の845.75トンとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)声明を受けて利上げ観測に変わりがなかったことやドル高再開を受けて投資資金が流出した。

【【プラチナはドル高などで戻りを売られる】

ニューヨーク・プラチナ1月限は、パラジウム堅調が支援要因となる場面も見られたが、ドル高再開などを受けて戻りを売られた。パラジウムは供給ひっ迫懸念などを受けて1,000ドル台を回復したが、ドル高を受けて上げ一服となった。10月の米新車販売は各社まちまちの内容となるなか、前年同月比1.3%減少したが、年率1,809万台と今年2番目の高水準となった。ハリケーン被害による車両の買い替え需要などが下支え要因であり、パラジウムが高値を維持できるかどうかを確認したい。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月31日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万9,612枚買い越しとなり、前週の2万0,948枚買い越しから縮小した。新規売りが新規買いを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11月3日のロンドンで12.41トン(27日11.61トン)に増加、ニューヨークで18.54トン(同18.55トン)、2日の南アで24.80トン(同25.05トン)に減少した。

【NY原油は2015年7月以来の高値】

ニューヨーク原油は、石油輸出国機構(OPEC)の減産延長期待や米リグ稼働数の減少などを受けて堅調となり、2015年7月以来の高値55.76ドルを付けた。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が来年末までの協調減産の延長を支持することを示唆し、今月のOPEC総会に対する減産延長期待が強い。一方、米エネルギー情報局(EIA)が発表した10月27日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比243万5,000バレル減少したが、米原油輸出量が日量213万バレルと過去最高水準を更新し、上値を抑える要因になった。米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された11月3日までの週の米石油リグ稼動数は前週比8基減の729基となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月31日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは50万2,949枚買い越しとなり、前週の44万6,827枚買い越しから拡大した。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は11月3日時点で2億0,560万株となり、前週末比560万株減少した。高値で利食い売りが出た。

【11月6日からの週の注目ポイント】

6日 黒田日銀総裁講演 ☆☆☆
日銀金融政策決定会合議事録(9月20-21日) ☆☆☆
ユーロ圏財務相会合 ☆☆
7日 豪中銀金融政策理事会 ☆☆☆
EU財務相理事会 ☆☆
8日 中国貿易収支(10月) ☆☆
トランプ大統領中国訪問 ☆☆
9日 日本銀行主な意見(10月30-31日) ☆☆
NZ中銀金融政策理事会 ☆☆☆
中国消費者物価指数(10月) ☆☆
中国生産者物価指数(10月) ☆☆
米新規失業保険申請件数(4日までの週)
ECB経済報告
10日 APEC首脳会議(11日まで)

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ニューヨーク金12月限はドル安を受けて上昇する場面も見られたが、米連邦準備理事会(FRB)次期議長や米税制改革案の詳細などの発表イベントをこなすと、ドル高に振れ、戻りを売られた。金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、10月6日安値1,262.8ドルを割り込むと、1,250ドルの節目を目指す可能性が出てくる。今週はトランプ米大統領のアジア歴訪などが焦点であり、北朝鮮情勢などを確認したい。

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2017年11月6日

提供:ALL先物比較