金はドル高が続くかどうかが焦点

【金はスペイン情勢の行方も確認】

10月23日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)人事を巡る思惑や米税制改革期待、欧州中央銀行(ECB)理事会を背景としたドル高を受けて軟調となった。ニューヨーク金12月限は6日以来の安値1,264.16ドルを付けた。米連邦準備理事会(FRB)人事に関して、共和党の有力上院議員の間でテイラー・スタンフォード大学教授への支持が優勢と伝えられたが、27日にはトランプ米大統領はパウエルFRB理事に傾いているとされた。米政治メディアのポリティコによると、候補からイエレン議長は外れたとみられている。米FRB人事は今週正式に発表される見通しであり、ドル相場の反応を確認したい。市場ではテイラー教授がパウエルFRB理事よりもタカ派とみられている。一方、米上院が予算決議案を可決し、税制改革に対する期待感が高まった。米下院も26日に税制改革に向けた予算決議案を可決した。決議の成立により、共和党は単独での税制法案の承認が可能となる。トランプ米政権は9月、法人税率の35%から20%への引き下げや、所得税率の区分の簡素化などを盛り込んだ税制改革案を発表しており、11月1日に詳細が発表される見通しである。

欧州中央銀行(ECB)理事会で債券購入を来年1月から9月末まで月額300億ユーロに縮小することを決定し、必要があれば延長するとの姿勢を示された。またドラギECB総裁は大規模な量的緩和が引き続き必要であることを示しているとの慎重な姿勢を示した。金融政策の正常化見通しでECBの来年の利上げも見込まれたが、今回の決定で利上げ観測が後退しており、ユーロ安が進む可能性が出てきた。一方、スペイン情勢に関しては、ラホイ首相が21日、臨時閣議を招集し、カタルーニャ州政府の自治権を大幅に制限する法案を決定した。同州のプチデモン首相ら閣僚を解任し、6カ月以内に州議会選挙を実施する方針とした。27日にはカタルーニャ自治州議会がスペインからの独立を宣言する一方、中央政府は上院の承認を受け、同州の自治をはく奪した。州都バルセロナで29日、独立に反対してきた市民団体らがデモを開催しており、同州の行方を確認したい。

今週はトランプ米大統領のアジア歴訪も焦点である。米大統領は11月5~14日の日程でアジア5カ国を訪れる。日本や韓国、中国の訪問では北朝鮮問題が重要なテーマになるとした。米大統領のアジア歴訪を控えて西太平洋に空母3隻を配備し、北朝鮮への圧力を強化しており、北朝鮮情勢の行方を確認したい。マティス米国防長官が27日に韓国入りし、北朝鮮との軍事境界線に接する非武装地帯(DMZ)を視察した。米国の目的は北朝鮮と戦争をすることではなく、金正恩朝鮮労働党委員長に核兵器を放棄するよう説得することだと述べた。米大統領は10日、ベトナム中部ダナンで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席したのち、13日にフィリピンのマニラを訪れ、米・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議や、ドゥテルテ比大統領との初会談に臨む予定となっている。

金の独自材料では、インドの金プレミアムが最大3ドルと前週の2ドルから上昇した。ただ需要期であるディワリ(燈明の祭り)が過ぎ、買いが一服した。今年の販売は例年を下回った。宝飾業者が在庫補充に動いているが、安値拾いに徹しているもよう。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月24日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万1,385枚となり、前週の20万0,724枚から縮小した。今回は手じまい売りが9,096枚、新規売りが243枚出て、買い越しを9,339枚縮小した。一方、10月27日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.36トン減の850.77トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)人事を巡る思惑や米税制改革期待、欧州中央銀行(ECB)理事会を受けてドル高に振れたことから、投資資金が流出した。

【プラチナはパラジウム堅調が下支えもドル高などで軟調】

ニューヨーク・プラチナ1月限は、パラジウム堅調が下支えとなったが、ドル高やスペイン情勢に対する懸念などを受けて軟調となった。一方、米税制改革期待はドル高要因だが、米国の成長が加速するとの見方が強まると、需要増加につながる可能性がある。今週は米新車販売台数の発表もあり、パラジウムの動向も焦点である。ハリケーン被害による車両の買い替え需要が続くようなら、パラジウムの押し目が買われ、プラチナの下支え要因になるとみられる。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月24日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万0,948枚買い越しとなり、前週の2万4,085枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、26日のロンドンで11.59トン(20日11.61トン)に減少、27日のニューヨークで18.55トン(同17.81トン)に増加、26日の南アで25.05トン(同25.05トン)と横ばいとなった。

【原油はレンジ上限を突破】

ニューヨーク原油は、クルド自治区に対する懸念や、サウジ皇太子の協調減産の延長支持などを受けて堅調となり、3月1日以来の高値54.20ドルを付けた。11月30日の石油輸出国機構(OPEC)総会に向けて、減産延長期待が高まるようなら、支援要因になりそうだ。ただロシアが態度を明確にしておらず、上値が抑えられる可能性もある。テクニカル面では9月の戻り高値52.86ドルを突破し、強気であり、1月高値55.24ドルを試す可能性が出てきた。米エネルギー情報局(EIA)が発表した10月20日までの週間石油統計で、原油在庫が前週比85万6,000バレル増加し、予想外の増加となった。また米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された10月27日までの週の米石油リグ稼動数は前週比1基増の737基となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月24日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは44万6,827枚買い越しとなり、前週の42万9,525枚から拡大した。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は10月27日時点で2億1,120万株となり、前週末比800万株減少した。高値で利食い売りが出た。

【10月30日からの週の注目ポイント】

30日 米個人所得支出(9月) ☆☆☆
米PCEデフレータ(9月) ☆☆☆
31日 日本雇用統計(9月) ☆☆
日銀会合結果 ☆☆☆
黒田日銀総裁、会見 ☆☆☆
中国製造業PMI(10月) ☆☆
米消費者信頼感指数(10月) ☆☆
米S&Pケースシラー住宅価格(8月)
1日 米自動車販売(10月)
米ADP雇用者数(10月) ☆☆
米ISM製造業景況指数(10月) ☆☆☆
米FOMC ☆☆☆
2日 英中銀政策金利 ☆☆☆
英中銀四半期インフレ報告 ☆☆☆
米新規失業保険申請件数(28日までの週)
アトランタ連銀総裁、講演 ☆☆
パウエルFRB理事、講演 ☆☆
3日 米雇用統計(10月) ☆☆☆
米ISM非製造業景況指数(10月) ☆☆☆
ミネアポリス連銀総裁、講演
(週内) トランプ大統領が次期FRB議長指名 ☆☆☆

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ニューヨーク金は6日安値を維持できるかどうかが焦点
ニューヨーク金12月限はドル高を受けて軟調となり、6日以来の安値1,263.8ドルを付けた。金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、6日安値1,268.2ドルを割り込むと、1,250ドルの節目が次の下値目標になる。今週は米連邦準備理事会(FRB)の次期議長が正式に発表される見通しであり、ドル相場の反応を確認したい。

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2017年10月30日

提供:ALL先物比較