金はドル高・株高が圧迫要因に

【金は米FRB人事の各市場の反応を確認】

10月16日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の次期議長人事を巡る思惑や、米上院の予算決議案可決で税制改革に対する期待感が高まったことを受けて軟調となった。ニューヨーク金12月限は1,300ドル台を維持できずに上げ一服となった。米連邦準備理事会(FRB)の次期議長人事で11日にトランプ米大統領と面談したスタンフォード大学のジョン・テイラー教授が高い評価を得たと伝えられた。候補者が2月に任期満了となるイエレン現議長、コーン米国家経済会議(NEC)委員長、パウエル米FRB理事、ウォーシュ元米FRB理事の5人に絞られるなか、市場では誰が議長になってもタカ派とみられ、ドル高に振れた。19日のイエレン議長との面談後は米政治メディアのポリティコがパウエル米FRB理事に傾いていると伝えた。同理事はイエレン議長と歩調を合わせて緩やかな利上げを支持し、反対票を投じたことはない。また20日には米大統領が、パウエル理事とテイラー教授の両氏を議長か副議長かのいずれかに指名することを検討しているとされた。目先は米大統領の発表と各市場の反応を確認したい。一方、米上院は19日、2018年度予算の大枠となる予算決議案を可決した。予算決議が認める減税が実施された場合、今後10年間で財政赤字は最大1兆5,000億ドル拡大する可能性がある。財政の後押しにより米経済の成長が加速するとの見方を受けて米主要株価指数が史上最高値を更新した。ただ米下院が独自の予算決議案を可決しており、上院案とすり合わせる必要がある。年内にまとまるかどうかが焦点である。今週は、26日の欧州中央銀行(ECB)理事会で1月から債券買い入れ額を現在の月額600億ユーロから400億ユーロに縮小するとの見方が大勢となっている。ECBの緩和縮小はユーロ買いにつながるが、金融引き締め方向となれば金の圧迫要因になりそうだ。

スペイン首相府は19日、カタルーニャ自治州の自治権停止の手続きを進める方針を明らかにした。同州が中央政府の求めていた独立宣言撤回の期限を無視したことが背景にある。ラホイ首相は21日、臨時閣議を招集し、カタルーニャ州政府の自治権を大幅に制限する法案を決定した。同州のプチデモン首相ら閣僚を解任し、6カ月以内に州議会選挙を実施する方針だという。同州の反応など、スペイン情勢の行方を確認したい。一方、北朝鮮情勢に関して、18日の中国共産党大会開幕に合わせたミサイル発射に対する警戒感も出ていたが、北朝鮮から中国に祝電が送られ、軍事的挑発は見送られた。朝鮮半島近海で米韓合同軍事演習が16~20日に実施され、不測の事態を避けたものとみられる。なお米空母打撃群は26日まで訓練を継続する。ティラーソン米国務長官とマティス米国防長官が外交による解決を目指している。ただロシアで開かれている国際会議でロシアは北朝鮮と韓国の直接対話を提案したが、北朝鮮が拒否した。北朝鮮は米東海岸に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発するまでは米国との外交交渉に応じる意思はないとしており、対話は難しそうだ。

金の独自材料では、インドのディワリ(燈明の祭り)によるフェスティバル・シーズンで過去2週間、販売が増加したが、前年比で約15%需要が減少した。ルピー建て金価格が年初から約8%上昇したことや、7月の物品サービス税導入の影響が指摘された。インドの金プレミアムは2ドルと前週の変わらずから上昇した。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月17日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは20万0,724枚となり、前週の20万0,112枚から拡大した。今回は新規買いが5,390枚、新規売りが4,778枚入り、買い越しを612枚拡大した。一方、10月20日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比変わらずの853.13トンとなった。スペインや北朝鮮情勢に対する懸念が残るが、米連邦準備理事会(FRB)の次期議長人事を巡る思惑や米税制改革期待を受けて模様眺めの動きとなった。

【プラチナはドル高が圧迫もパラジウムの押し目買いが下支え】

ニューヨーク・プラチナ1月限は、米連邦準備理事会(FRB)の次期議長人事を巡る思惑や米税制改革期待によるドル高が圧迫要因になったが、パラジウムの押し目が買われたことを受けて下値は限られた。上海プラチナの出来高が増加し、中国勢の安値拾いの買いが入ったことも下支え要因である。一方、パラジウムは米国のハリケーン被害で車両の買い替え需要が強いことや、高水準のリースレート(貸出金利)で供給ひっ迫感が強いことが支援要因である。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月17日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万4,085枚となり、前週の2万2,015枚から拡大した。新規買い・買い戻しが入った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、20日のロンドンで11.61トン(13日11.74トン)に減少、ニューヨークで17.81トン(同17.81トン)と横ばい、19日の南アで25.05トン(同25.42トン)に減少した。

【原油はレンジ上限を突破できるかどうかが焦点】

ニューヨーク原油は、イラク軍のキルクーク侵攻が強材料視される場面も見られたが、緊張が一服したことから上げ一服となった。油田地帯キルクークはクルド人が実効支配していたが、治安部隊「ペシュメルガ」はイラク軍に目立った抗戦をせずに撤退した。ただ米国の原油在庫や米石油リグ稼動数の減少が続いており、レンジ上限を突破できるかどうかが当面の焦点である。米エネルギー情報局(EIA)が発表した10月13日までの週間石油統計で、原油在庫が前週比573万1,000バレル減少し、4週連続で減少した。また米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された10月20日までの週の米石油リグ稼動数は前週比7基減の736基となった。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月17日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは42万9,525枚となり、前週の41万7,061枚から拡大した。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は10月20日時点で2億1,920万株となり、前週末比620万株減少した。高値を突破できず、手じまい売りが出た。

【10月23日からの週の注目ポイント】

23日 安倍首相、記者会見 ☆☆
24日 独ユーロ圏製造業PMI速報値(10月) ☆☆
中国共産党第19回全国代表大会閉幕 ☆☆
25日 英GDP速報値(第3四半期) ☆☆
独Ifo景況感指数(10月) ☆☆
米耐久財受注(9月) ☆☆
米新築住宅販売件数(9月) ☆☆
26日 ECB政策金利、ドラギECB総裁記者会見 ☆☆☆
米中古住宅販売制約指数(9月) ☆☆
米新規失業保険申請件数(21日までの週) ☆☆
27日 日本消費者物価指数(9月) ☆☆
米GDP速報値(第3四半期) ☆☆☆
28日 アイルランド総選挙
29日 欧州、冬時間に移行

*重要度を3段階で表示

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ニューヨーク金は1,300ドル台を維持できず
ニューヨーク金12月限は9月26日以来の高値1,306.4ドルを付けたが、1,300ドル台を維持できずに上げ一服となった。25日移動平均線を割り込み、テクニカル面で悪化した。米連邦準備理事会(FRB)の次期議長人事でタカ派との見方が強いことや、米上院の予算決議案可決で税制改革に対する期待感が高まったことが圧迫要因であり、投資資金が流出すると、6日安値1,262.8ドルを試す可能性も出てくる。

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2017年10月23日

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