金はドル高一服が支援も米利上げに対する見方を確認

【金は中国共産党大会や米地区連銀経済報告などが焦点】

10月9日の週のニューヨーク金市場は、北朝鮮に対する警戒感や、ドル高一服などを受けて堅調となった。ニューヨーク金12月限は9月26日以来の高値1,306.4ドルを付けた。ロシア議員が北朝鮮のミサイル発射準備を伝え、警戒感が強まったが、10日の朝鮮労働党創建記念日に動きは見られず、市場の焦点は米連邦準備理事会(FRB)の利上げの行方に移った。ただ北朝鮮国内で弾道ミサイルの発射台が移動していることが確認され、18日の中国共産党大会開幕に合わせてミサイルが発射される可能性がある。一方、米原子力空母ロナルド・レーガンを中心とする空母打撃群と韓国海軍の合同演習が16日に開始された。北朝鮮に対する監視も強化する。合同演習は20日まで、米空母打撃群の訓練期間は26日までとされている。ティラーソン米国務長官は、北朝鮮問題について「最初の爆弾を落とすまで外交努力を続ける」と述べており、今後の行方を確認したい。

米金融当局者の発言や米経済指標を受けて米連邦準備理事会(FRB)の12月利上げ確率は一時90%を超えたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で一部ハト派の見方が示されたことや、9月の米消費者物価指数(CPI)が事前予想を下回ったことを受けて利上げ確率は小幅に低下した。CMEフェドウォッチによると、13日時点は84.2%となっている。米FOMC議事録で「多くのメンバーが、今年の低インフレがより根強い動きであることに懸念を表明した」とされたことが一部ハト派とみられたが、多くの参加者が年内にもう1度利上げすることが「適切となるだろう」としており、12月利上げ観測が強い。また9月の米CPIが事前予想を下回ったが、数字自体は前月比0.5%上昇と8カ月ぶりの大幅なプラス、前年同月比2.2%上昇と、8月の1.9%上昇から伸び率が拡大した。9月の小売売上高も前月比1.6%増と2年半ぶりの大幅なプラスとなり、米経済は好調である。今週は18日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)の発表があり、利上げ観測が戻るようなら金の戻り売り圧力が強まる可能性がある。

スペインのカタルーニャ問題の行方も焦点である。カタルーニャ自治州政府のプチデモン首相は10日、投票結果の発効を「数週間」停止し、「対話の期間」を設けることを提案した。ラホイ首相は11日、独立を宣言したかどうか公式な立場を示すよう求めた。独立を宣言したのであれば8日以内に撤回するよう要求、撤回しない場合は憲法155条に基づいて同州の自治権を停止する考えを示した。落ち着いた状況となっており、両者の対応を確認したい。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月10日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは20万0,112枚となり、前週の20万3,855枚から縮小した。今回は手じまい売りが8,069枚、買い戻しが4,326枚入り、買い越しを3,743枚縮小した。一方、10月13日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.89トン減の853.13トンとなった。北朝鮮情勢に対する懸念を受けて週初に買われたが、1,300ドル台回復で利食い売りなどが出た。

【プラチナはドル高一服で上昇】

ニューヨーク・プラチナ1月限は北朝鮮情勢に対する懸念を受けて金が下げ一服となったことに加え、ドル高一服が支援要因となって上昇し、9月26日以来の高値949.4ドルを付けた。上海プラチナの出来高が減少し、中国勢は戻り高値での買いを見送っているが、パラジウムとの価格が逆転し、比差のマイナス幅が拡大し、割安感が強いことが支援要因である。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月10日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万2015枚となり、前週の2万1,929枚から拡大した。

【原油はOPEC総会に対する期待感などが支援要因】

ニューヨーク原油は、来月の石油輸出国機構(OPEC)総会に対する期待感や米国の原油在庫減少、中国の原油輸入増加などを受けて堅調となった。ロシアを訪問したサウジアラビアのサルマン国王が協調減産に関して踏み込んだ発言をしなかったが、バルキンドOPEC事務局長が「協調減産期間の延長に関する議論は続けられている」と述べた。一方、米エネルギー情報局(EIA)が発表した10月6日までの週間石油統計で、原油在庫が前週比274万7,000バレル減少し、3週連続で減少した。また米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された10月13日までの週の米石油リグ稼動数は前週比5基減の743基となったことも支援要因である。

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月10日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは41万7,061枚となり、前週の44万4,316枚から縮小した。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は10月13日時点で2億2,540万株となり、前週末比150万株減少した。戻り場面で利食い売りが出た。

【10月16日からの週の注目ポイント】

16日 中国消費者物価指数(9月) ☆☆
中国生産者物価指数(9月) ☆☆
米NY連銀製造業景況指数(10月) ☆☆
17日 英消費者物価指数(9月) ☆☆☆
英生産者物価指数(9月) ☆☆
独ZEW景況感指数(10月) ☆☆
米鉱工業生産(9月) ☆☆
フィラデルフィア連銀総裁、講演 ☆☆
18日 米住宅着工件数(9月) ☆☆
米地区連銀経済報告(ベージュブック) ☆☆
NY連銀総裁、講演 ☆☆
ダラス連銀総裁、講演 ☆☆
中国共産党第19回全国代表大会開幕 ☆☆
19日 豪雇用統計(9月) ☆☆☆
中国GDP(第3四半期) ☆☆☆
中国小売売上高(9月) ☆☆
中国鉱工業生産(9月) ☆☆
米景気先行指数(9月)
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(10月) ☆☆
EU首脳会議(20日まで) ☆☆
20日 黒田日銀総裁、あいさつ ☆☆
米中古住宅販売件数(9月) ☆☆
クリーブランド連銀総裁、講演 ☆☆
イエレンFRB議長、講演 ☆☆☆
22日 衆院選投開票 ☆☆

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ニューヨーク金は1,300ドル台回復も投資資金が流出
ニューヨーク金12月限は9月26日以来の高値1,306.4ドルを付けた。北朝鮮のミサイル発射に対する警戒感やドル高一服が支援要因になった。1,300ドル台回復や25日移動平均線突破でテクニカル面で改善した。ただ金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、上値を伸ばすには強材料が必要。今週は18日の中国共産党大会開幕での北朝鮮の動きや、米地区連銀経済報告(ベージュブック)などを確認したい。

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2017年10月16日

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