金は北朝鮮情勢やハリケーン被害の行方を確認

【金は高値警戒感からETFに利食い売り】

9月4日の週の商品市場は、金が北朝鮮の核実験や米国のハリケーン被害に対する懸念によるドル安などを受けて堅調となり、2016年8月以来の高値1,355.8ドルを付けた。ただ週明けは北朝鮮の軍事的挑発が見られなかったことや、ハリケーン「イルマ」の勢力がやや弱まったことを受けてドル高に振れ、上げ一服となった。9日の北朝鮮の建国記念日でミサイル発射に対する警戒感が出ていたが、軍事的挑発はなく、10日に科学者らのための宴会が開かれ、核開発を進める姿勢を明らかにした。今週は国連安全保障理事会で北朝鮮の制裁強化の決議案の採決が11日に予定されている。ロシアが制裁強化に反対していたが、中国とともに協議に応じる構えを見せており、決議案の行方を確認したい。また決議案に対する北朝鮮の反応も焦点である。ミサイル発射となり、米朝間の緊張が高まるようなら、金に押し目買いが入る可能性が出てくる。

米議会が5日に再開され、ハリケーン被害救済法案や米連邦債務上限を3カ月間引き上げる法案が可決された。トランプ米大統領は8日に両法案に署名した。米大統領はハリケーンの被害を考慮し、米議会に対して税制改革に取り組みを一層早めるよう要求しており、今後の協議の行方を確認したい。ハリケーン「イルマ」は10日にフロリダ州に上陸したが、勢力をやや弱めており、懸念が後退した。ただ「ホセ」がカテゴリー4に勢力を強めており、引き続き警戒感が残る。ダドリー・ニューヨーク連銀の総裁は、相次ぐハリケーン襲来が次回利上げの時期に一時的な影響を与える可能性があるが、トレンドを上回る成長が緩やかな利上げの継続を正当化しているとの見方を示した。テキサス州でハリケーン「ハービー」からの復興作業が始まっており、インフレにつながるようなら利上げの見方が出てくる可能性がある。

欧州中央銀行(ECB)理事会では主要政策金利を予想通り据え置くとともに、政策ガイダンスも維持された。ドラギECB総裁は記者会見で、ユーロ相場は「非常に重要」とし、注意深く見守る必要があると指摘した。また決定の多くは大方10月になされるとした。一方、今後の見通しについては、2017年の成長率見通しは2.2%と6月時点の1.9%から上方修正された。また2017年のインフレ率見通しは1.5%、18年は1.3%とした。6月時点の見通しはそれぞれ1.5%、1.4%だった。ユーロ高が続くと、金の支援要因になるが、緩和縮小で金融引き締めが確認されると、利食い売りに上値を抑えられるとみられる。

【原油はハリケーン被害と製油所の稼働状況を確認】

ニューヨーク原油は、製油所の再稼働を受けて8月10日以来の高値49.42ドルを付けたが、ハリケーン被害に対する懸念が出て戻りを売られた。テキサス州でハリケーン「ハービー」からの復興作業が始まり、製油所が再稼働した。ただハリケーン「イルマ」がフロリダ州に上陸する見通しとなり、戻りを売られた。イルマは10日にフロリダ州に上陸したが、勢力をやや弱めており、週明けのニューヨーク原油は下げ一服となった。ただハリケーン「ホセ」の動きも警戒され、当面は引き続きハリケーンの動きと製油所の稼働状況が焦点になりそうだ。

米エネルギー情報局(EIA)が発表した9月1日までの週間石油統計によると、原油在庫は、前週比458万バレル増の4億6,235万3,000バレル、ガソリンは同319万9,000バレル減の2億2,673万8,000バレル、留出油は同139万6,000バレル減の1億4,776万7,000バレルとなった。ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油受け渡し場所となるオクラホマ州クッシングの原油在庫は同79万7,000バレル増の5,803万バレルとなった。事前予想は原油が400万バレル増。ハリケーン「ハービー」の影響で原油在庫が増加した。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された9月8日までの週の米石油リグ稼動数は前週比3基減の756基となり、6月30日以来の低水準となった。8月には7基が停止し、月間では2016年5月以来初めての稼働数減少となった。

【金・原油のファンド筋の買い越しが拡大】

米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月5日時点の大口投機家の取組は、ニューヨーク金は24万5,298枚買い越し(同23万1,047枚買い越し)、ニューヨーク・プラチナは3万7,973枚買い越し(同3万5,860枚買い越し)に拡大した。金・プラチナともに新規買いが新規売りを上回った。ニューヨーク原油が38万2,113枚買い越し(前週36万5,865枚買い越し)に拡大した。新規買い・買い戻しが入った。

9月8日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.29トン増の834.50トンとなった。北朝鮮の核実験などを受けて340.08トンまで増加したが、利食い売りが出て増加が一服した。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は9月8日時点で2億5,180万株となり、前週末比1,470万株減少した。戻り場面で利食い売りが出た。USOが先物市場につないでいる原油の買い玉は8日時点のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で5万1,180枚(同3,232枚増)となった。

【プラチナはETFからの投資資金流出やドル高が上値を抑える】

プラチナの現物相場は北朝鮮の核実験やドル安などを受けて堅調となり、3月1日以来の高値1,022.18ドルを付けた。ただ欧米のプラチナETF(上場投信)から投資資金が流出したことに加え、週明けのドル高が上値を抑える要因である。北朝鮮の軍事的挑発がなかったことや、ハリケーン「イルマ」が勢力をやや弱めたことを受けてドル安が一服した。国連安全保障理事会の北朝鮮の制裁決議次第では金主導で地合いを引き締める可能性があるが、1,000ドルの節目を割り込むと、テクニカル要因の売りが圧迫要因になるとみられる。一方、パラジウムはハリケーン「ハービー」被害で買い替え需要に対する期待感が出て一段高となったが、買い一巡後は調整局面を迎えた。ハリケーン「イルマ」に対する反応は薄く、調整局面を継続すると、プラチナの上値を抑える要因になるとみられる。

ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の「プラチナ・クォータリー」によると、2017年第2四半期のプラチナは2.3トンの供給過剰となった。第1四半期の9.5トンの需要超過から供給過剰に転じた。欧州のディーゼル車のシェア縮小で自動車触媒需要が減少したことや、中国の宝飾需要の減少が指摘された。2017年は0.5トンの需要超過と予想された。

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