米国からの原油輸出急拡大

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 ずっと前に述べたことであるが、シェール革命は米国を強大国にする。その兆候のひとつが米国が急速に原油輸出国に成り代わっていることだ。2016年半ばまでは米国は世界最大の原油輸入国であったが、その地位は中国が奪った。中国の原油輸入が増加したこともあるが、米国の原油輸入が減少したためだ。

 一方米国は2017年急激に原油輸出量を増やし、平均日量110万バレルと、前年比+89%増、+52万7千バレル増となった。下のグラフ2で見ると、1980年にも米国の原油輸出は急増しているが、2017年は1980年の増加の4倍の多さでグラフが立ち上がっていることが見られる。

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 2017年は世界37カ国に向けて米国産原油が輸出され、1番多い輸出国はカナダであるが、2位に前年4位だった中国が上昇した。また新たに、英国、オランダ、イタリア、フランス、スペイン、インド等が輸出先に加わった。インドは日本の9位に次ぐ10位を占めている。

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 米国の原油輸出が増えた原因は2つある。一つはテキサス州等の油田地帯からメキシコ湾へのパイプラインが完成したこと、また、これまで輸入専門だった港の施設が輸出向けにも対応できるよう改造されたこと。こうした輸出インフラの整備が恒常的な輸出を支えている。二つ目は米国産原油がブレント原油価格よりも安かったことである。昨年秋は6ドル以上の差があったが、今でも3ドル前後程度はある。2017年平均で3.36ドルの値差があったが、EIAは18年から19年にかけての値差を4ドルと予想している。価格競争力のある米国産原油は軽質油でガソリンに精製しやすいこともあり、今後も一定の世界シェアを占めるだろう。原油輸出の増大は、米国の双子の赤字のひとつの貿易赤字を解消させるだろう。米国は今や農産物だけでなく、主要産業のひとつの石油も国際貿易が主流となりつつある。トランプ大統領はこうした事実を十分理解すべきであろう。

 シェール革命は、天然ガスの利用で、石油化学工業はナフサの代わりにエタンを使い、また、鉄鋼業は石炭コークスの代わりに同じくエタンを還元剤として使うことで生産コストが低下し、どちらも価格競争力ができる。次の時代は中国と共に、米国の産業も捨てたものでは無くなるだろう。

    • 株式会社コモディティー インテリジェンス
      近藤雅世(こんどう まさよ)

      1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
      アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。 商品ファンドを日本で初めて作った一人。
      2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。
      2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンス設立代表取締役社長就任。